お通夜への参列マナー|参列者の範囲からお香典、出席できないときの作法まで解説
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- 【 葬儀・葬式の基礎知識 】
お通夜に参列するときは、どのようなマナーに気を付けたらよいのでしょうか。
お通夜は、故人様と最後の夜を過ごす大切な儀式です。参列時に対応を間違えると、故人様に失礼なだけでなく、ご遺族の方を不快にさせてしまいます。
今回は、お通夜への参列時に気を付けるべき「身だしなみ」「持ち物」「お悔やみの言葉」「お焼香」などの基本的なマナーについて解説します。「そもそもお通夜って誰が来るの?」「お通夜に参列できないときはどうしたらよい?」といった疑問にもお答えしますので、ぜひご一読ください。
1.お通夜に参列する人は?どこまでの関係の人?
まず始めに、お通夜に参列する人の範囲について、最近の傾向と合わせて解説します。
お通夜の最近の傾向
かつてお通夜は、故人様の身内や、故人様と特に親しかった友人が参列するものでした。しかし、1960年代以降になると参列者の範囲は広がり、会社の関係者やより多くの友人も参列することが一般的となりました。
昨今では、葬儀の簡略化・縮小化などの影響から、お通夜には故人様を知る関係者を広く呼び、葬儀・告別式はご家族、ご親族のみにとどまる傾向にあります。
家族葬におけるお通夜の場合
家族葬とは、参列者の数を限定した比較的小規模な葬儀です。「家族」と名のつくことから、「ご家族だけで執り行う葬儀」と捉えられがちですが、必ずしもそうではありません。近しい間柄のご親族だけでなく、故人様と特に親しかったご友人が参列することもあります。
したがって、家族葬のお通夜においてもご家族以外の「故人様に近しい人、特に親しかった人」が参列することは問題ありません。お通夜の案内があれば赴きましょう。
赤ちゃんや子どももお通夜に連れて行く?
赤ちゃんや小さな子どもをお通夜に参列させるかは、判断に迷うところです。身内のお通夜には、お子様も必ず連れていかなければならないのでしょうか?
結論としては、「各々の判断でOK」です。連れていくかどうかは、下記のような状況や、ご遺族の意向に合わせて決めるとよいでしょう。
・いざというときにお世話をしてあげられるか
・小さなお子様の参列について、ご遺族が賛成しているか
・お子様自身が参列を望んでいるか
・お子様が、人が亡くなることについてある程度理解しているか
2.お通夜に参列したときの基本的な流れ
お通夜の開始時間は18時以降で、所用時間(通夜振る舞いをのぞく)は、1時間~1時間半程度が一般的です。お通夜に参列したときの主な流れを以下にご紹介します。
【お通夜に参列したときの流れ】
1.通夜会場に到着後、受付にて記帳し、お香典を渡す
2.案内に従って着席
3.ご遺族着席
4.僧侶入場
5.喪主による通夜開始の挨拶
6.僧侶による読経
7.参列者によるお焼香
8.喪主による通夜終了の挨拶
9.通夜振る舞い
10.解散
「通夜振る舞い」とは、お通夜に参列してくれた人へ、喪主が食べ物や飲み物を振る舞う会のことです。集まった人たちが故人様の思い出を語らう供養の場でもあるため、案内があれば参加。
なお、喪主様やお手伝いをするご遺族は、お通夜開始1時間以上前に会場入りします。喪主様、ご遺族の当日の流れは「お通夜当日の喪主様、ご遺族の動き」で解説しておりますので、喪主や遺族としての過ごし方に興味のある方はぜひ参考になさってください。
3.お通夜に参列するときの服装
こちらより、お通夜に参列するときの具体的な服装や身だしなみについて、昨今の傾向も含めてご紹介します。
服装についての基本的な考え方
通夜参列時の服装は、長らくご親族は喪服、それ以外の方は平服を着用するのがマナーとされていました。しかし最近では、ご親族以外の参列者でも、男女ともに喪服を着用する方が増えています。
なお、急なお通夜の場合は喪服ではなく、控えめな平服でも差し支えありません。平服とは、「喪服ほど厳格ではないが、普段着でもないフォーマルウェア」を指します。
喪服、平服どちらにするかは、参列するお通夜の雰囲気や、故人様もしくは喪主様との関係性で判断するとよいでしょう。
男性の服装・身だしなみ
喪服を着る場合は、「準喪服」が適しています。準喪服とは、以下のような服装です。
身に着けるものは全て「柄なし」「光沢なし」「装飾なし」が基本です。時計は、装飾が華美なようなら外しましょう。髪型は清潔さを心がけ、強い香りの整髪剤を使用しないように気を付けます。
平服でお通夜に駆けつける場合は、フォーマルスーツの代わりに黒またはグレー系のシンプルなデザインのダークスーツを着用します。シャツやネクタイ等のマナーは、喪服の場合と同様としましょう。
女性の服装・身だしなみ
女性の準喪服の服装は、以下の通りです。
男性の場合と同様に、身に着けるものは全てシンプルなものにし、ナチュラルメイクを心がけます。
平服で参列する場合は、黒や紺などの落ち着いた色味のシンプルなデザインのスーツや、ワンピースとします。靴やアクセサリー類のマナーは、喪服の場合に準じましょう。
4.お通夜に参列するときの持ち物
お通夜に参列するときには、持ち物にも注意が必要です。突然の訃報で慌てないためにも、日ごろから備えておきましょう。
ハンカチ
涙や汗を拭ったり、手を拭いたりする際に必要となす。ハンカチは無地の白色が正式とされていますが、無地の黒でも問題ありません。タオル生地のハンカチは白や黒であってもカジュアルな印象を与えてしまうので、控えます。
持ち合わせがない場合は、なるべく黒や白に近い色味で、柄のないものを用意しましょう。
数珠(じゅず)
数珠は、仏式の葬儀やお通夜、法要で使う道具です。仏教徒であれば数珠を持参するのが望ましいですが、ご自身が他の宗教を信仰していたり、無宗教だったりする場合は、持参しなくてもよいでしょう。
宗派によって数珠の形が異なることがありますが、自分が信じる宗派のものを持参して構いません。貸し借りは避け、持参する際は「ひとりひとつ」を守りましょう。
お香典
故人様の霊前に供える金品を「お香典」といいます。お香典はもともと、ご遺族の金銭的負担を援助するのが目的でしたが、現代では「故人様に対する供養の気持ち」も込められています。
お香典は、必ず香典袋に入れて持参します。香典袋はコンビニやスーパー、文具店などで手軽に入手することができますが、表書きの種類に注意が必要です。詳しくは、この後の「通夜に持参するお香典の金額・表書き」にて解説します。
あらかじめご遺族からお香典の辞退の連絡があった場合は、ご遺族の意向を尊重して持参を控えましょう。
袱紗(ふくさ)
袱紗とは、絹や縮緬(ちりめん)などでできた「冠婚葬祭の金封を包むための布」です。お香典を入れた香典袋は袱紗に入れます。袱紗には、シーンや包む金額に合わせていくつかの種類がありますが、慶事、弔事ともに使用できる紫色の袱紗をひとつ持っておくと便利でしょう。
5.お香典はお通夜・葬儀どちらに参列したときに渡す?
お通夜と葬儀の両方に参列する場合、お香典は最初に参列したタイミングで渡すのが一般的です。したがって、お通夜に持参しましょう。
お通夜と葬儀でお香典を2度渡してしまうと、不幸が重なることを連想させるとされていますので、ご注意ください。
6.通夜に持参するお香典の金額・表書き
「お香典をいくら包んだらよいのかわからない」という悩みは、非常に多く聞かれます。お香典の適正金額は地域性や個々の考えによっても異なるものです。
以下に、全国的に見たお香典の金額目安をご紹介しますので、参考になさってください。
関係性 | ご自身の年代 | 金額目安 |
---|---|---|
父母 | 20代 | 3~10万円 |
30代 | 5~10万円 | |
40代 | 10万円 | |
兄弟姉妹 | 20代 | 3~5万円 |
30代 | 5万円 | |
40代 | 5万円 | |
祖父母 | 20代 | 1万円 |
30代 | 1~3万円 | |
40代 | 3万円 | |
友人・知人 | 20代 | 3,000~5,000円 |
30代 | 5,000円~1万円 | |
40代 | 1万円 |
お香典は、連名で出す場合も一人分の金額を包むのが原則です。また、平均的な相場を大幅に超えたお香典は、お返しを用意するご遺族にとって大きな負担となる可能性があることを留意しておきましょう。
お香典は必ず香典袋に入れ、「御霊前(ごれいぜん)」などの表書きを記載します。御霊前と似た言葉に「御仏前(ごふつぜん:御佛前と書くことも)」がありますが、御仏前は、四十九日以降にお供えをする場合に使う言葉ですので、お通夜に持参する場合にはふさわしくありません。
また、御霊前を表書きに使うのは浄土真宗を除いた仏教のみです。宗教・宗派ごとの表書きは、下記の「宗教・宗派&シーンから選ぶ表書き 早わかり診断図」でチェックしましょう。
7.通夜参列時のご遺族への挨拶・お悔やみの言葉
お通夜に参列すると、ご遺族に対しお悔やみの言葉をかけるタイミングが訪れます。間違った言葉を使ってしまうと、ご遺族をなぐさめるどころか不快な思いをさせてしまうかもしれませんので、基本的なマナーを押さえておきましょう。
お悔やみの言葉の基本的なマナーは以下の4つです。
1. 長話はせず、手短に伝える
2. 忌み言葉や重ね言葉を使わない
3. 故人様の死因や病状には触れない
4. 相手の宗教に合わせた言葉を使う
より詳しいマナーや文例は「お悔やみの言葉~文例とご遺族への正しい伝え方~」にて解説しております。参列する側も緊張して、上手に話せないなどの不安があるかもしれませんが、言葉選びに注意を払い、心を込めてお悔やみを伝えましょう。
8.お通夜でお焼香を行うときのマナー
お焼香とは、故人様を供養するためにお香を焚く儀式のことで、仏教の葬儀やお通夜でのみ行われます。このお焼香の正しい作法について「実は自信がない……」という方も多いのではないでしょうか。
こちらでは、お通夜でお焼香を行うときの作法やマナーをご紹介します。
お焼香を行う順番
お焼香は、故人様との関係が深い喪主様を先頭に、ご家族、ご親族、参列者の順で行うのが一般的です。
お焼香の回数
お焼香は、抹香(まっこう)と呼ばれる木片を指でつまみ、香炉の中へ落とすという動作を繰り返します。回数は宗派によって異なるため「2回」のときもあれば「3回」のときもあります。
故人様の信仰している宗派の作法に従うべきか、ご自身の信仰している宗派の作法に従うべきか迷いますが、どちらでも問題ないとされています。故人様の宗派の作法に合わせる場合は、先にお焼香を行う喪主様やご遺族の様子を確認しておくとよいでしょう。
お焼香をする手順
お焼香のスタイルは3種類ありますが、ここでは、一般的な立礼焼香(立って行う焼香)の手順をご紹介します。
左手は合掌の形のまま、右手の親指、人差し指、中指の3本を使って抹香をつまむ。
左手は合掌の形のまま、右手の親指、人差し指、中指の3本を使って抹香をつまむ。
9.お通夜に参列できない時にすべきこと
故人様のもとに駆け付けたいという思いはあっても、諸事情でお通夜に参列できないことはあります。お通夜に参列できない時は、どのような対応をとるべきでしょうか。
通夜に参列できない旨をまず連絡
お通夜に参列できないと分かった時点で、すぐに欠席の連絡をします。相手が確実に把握できるよう、LINEやメールは避け、電話で伝えるのがベターです。
一般的に、逝去からお通夜まではあまり時間がなく、ご遺族は慌ただしく過ごされています。連絡の際は手短に、下記のような要点を伝えます。
・お通夜に参列ができなくなったこと
・葬儀の参列ができるかどうか
・後日弔問に伺いたい場合は、その旨について
参列できない理由を詳細に伝える必要はありません。ただし、相手はあなたに「参列してほしい」と思ってお通夜の案内を出しています。親しい間柄であっても、丁寧な言葉遣いを心がけましょう。
葬儀・告別式のみに参列する
参列できないのがお通夜だけであれば、葬儀や告別式には参列しましょう。
「お通夜を欠席した後の葬儀・告別式では、ご遺族に改めて欠席の謝罪をしなくてはならないのだろうか?」と思う方もいるかもしれません。しかし、スケジュールの見通しの立っている慶事と違い、訃報は突然訪れるものです。やむを得ない事情で欠席する人が出ることはある程度想定済みで、気にされないご遺族が大半です。
もしどうしても気になるようでしたら、ご遺族とお話をするタイミングでお悔やみと共に伝えてはいかがでしょうか。
通夜・葬儀ともに参列できないときは、お香典を別の手段でお渡し
お通夜、葬儀の両方に参列できないときは、以下のような手段を用いてお香典を渡します。
手段 | 注意点 |
---|---|
代理人をたて、代わりに葬儀に 参列してもらう |
・香典袋に記載する氏名は自分のものとすること |
後日弔問して直接渡す | ・事前に相手に弔問の許可をいただいておくこと ・葬儀後に伺う場合は、葬儀の後1週間から10日ほど後がよい ・長居しない |
お香典を郵送する | ・葬儀後2~7日の間に届くようにする ・必ず現金書留を使う ・事前に送ることを相手に伝える ・手紙も添える |
ただし前述したように、ご遺族がお香典を辞退している場合はお香典を渡すことを控えます。
10.お通夜へ参列するときはマナーを守り故人様をしのびましょう
お通夜は故人様と最後の夜を過ごす大切な儀式です。マナーを正しく守ることも、故人様をしのぶことの一環だと考え、参列の際は失礼のないように振る舞いましょう。
今回お通夜のマナーをご紹介した花葬儀は、故人様やご家族の想いを大切に、いつまでも心に残る葬儀をお手伝いする葬儀社です。お客様に納得して選んでいただけるよう、「家族葬」「一般葬」「自宅葬」「火葬式」など、さまざまな葬儀費用とプランをご用意しております。葬儀に関するご相談は24時間365日承っておりますので、どうぞお気軽にご連絡ください。