遺影写真の選び方~服装からサイズ、フレームまで最近の傾向とあわせて解説

遺影写真の選び方~服装からサイズ、フレームまで最近の傾向とあわせて解説

通夜・葬儀を控えて「遺影写真にどれを選べばよいか」と慌ててしまうご家族は少なくありません。遺影写真は故人様の生きていた証ともいえるものですから、後悔がないように準備したいものです。

そこで今回は、遺影写真の準備の流れ、選ぶポイント、生前に自分で用意する方法などについて、遺影写真の近年の傾向にも触れながら詳しく解説します。

遺影写真を準備しようとしているご家族や、ご自身の遺影写真を事前に準備したいと考えている方は、ぜひこの記事を参考になさってください。

1.遺影写真とは

遺影写真とは

遺影写真とは、通夜や葬儀の際に祭壇や焼香台に飾る故人様の写真を指します。宗教的な意味はなく、必ずしも用意しなければならないものではありません。しかし、参列者が遺影写真を見て故人様の生前の姿を思い出してしのぶことができるように、多くの場合用意されます。

葬儀が終わったあとは、遺影写真は通常、後飾り祭壇に飾られます。後飾り祭壇とは、ご遺骨を忌明け、あるいは埋葬まで安置する祭壇です。

後飾り祭壇を片付けた後、以前は遺影写真を仏間や床の間などに移していました。しかし最近では住宅事情により仏間がない家庭も増えたため、小さめの遺影写真を仏壇などに飾るケースが多いようです。

なお、葬儀で使用したものとは別に仏壇などに飾るために用意する故人様の写真も、遺影写真と呼びます。

2.遺影写真を準備する一般的な流れ

通夜や葬儀で使う遺影写真の作成は、葬儀社に依頼するケースがほとんどです。いざというときに慌てずにすむよう、遺影写真を葬儀社に依頼する際の流れを知っておきましょう。

遺影写真に使いたい写真を選ぶ

遺影に使う写真は通常、ご家族が選びます。通夜までに間に合うように仕上げる必要があるため、遅くとも通夜当日の正午には写真を用意します。最近では、納得できる遺影写真にするため、またご家族の負担を軽減するために、ご自身で生前に用意する方も増えています。

遺影写真を入れるフレーム(額縁・写真立て)を選ぶ

故人様のイメージや祭壇のデザインに合わせたフレームを、葬儀社と相談して選びます。

写真の加工・修正を依頼する

遺影写真の加工・修正については、以下のような要望をかなえられることが多くあります。

  • ・背景の不要な物を消したい
  • ・集合写真から故人様だけを抜き出したい
  • ・プリント写真(プリントアウト済みの写真)を大きく引き伸ばしたいなど

葬儀社にどこまで加工・修正できるかを確認し、満足のいく遺影写真になるよう相談しましょう。

印刷サイズなどを決め、プリントアウトしてもらう

通夜や葬儀会場の広さ、祭壇の大きさなどに合わせて遺影写真のサイズを決め、プリントアウトしてもらいます。葬儀社に依頼して、葬儀後に仏壇などに飾りやすい小さいサイズの遺影写真を用意してもらうことも可能です。

会場に遺影写真を飾る

遺影写真を葬儀会場などに飾る場合は、まわりに花やリボンを飾ることで、祭壇や葬儀会場をより華やかに演出することができます。特に、故人様が好きだった花を飾ると、参列者にとっても心に残る遺影写真となるでしょう。

どのように遺影写真を飾るか、希望するイメージを葬儀社に伝えることをおすすめします。

3.遺影写真の選び方【ポイントは3つ】

遺影写真の選び方【ポイントは3つ】

急いで遺影写真を選ばなければならない場合もありますが、そのようなときにも、次にご紹介する3つのポイントを押さえて選ぶとスムーズです。

1.故人様らしさが出ている

かつては正装や和装姿の写真を選ぶことが多かったのですが、最近では故人様の個性や人柄が重視されるようになってきました。たとえば、笑顔が印象的な方であれば笑顔の写真を選んでもよいでしょう。服装も、故人様らしいものであれば、スーツや着物にこだわる必要はなく、普段着や趣味の服装でもかまいません。

ペットを抱いていたり、ピースサインの姿であったりする写真を遺影に使用する方もいらっしゃいます。「明るい表情やカジュアルな服装は、厳粛な葬儀の場にふさわしくないのでは」と気にされる方もいますが、故人様らしい自然な姿の写真を選ぶのが一番ではないでしょうか。

2.顔が鮮明に大きく写っている

手元にあるプリント写真から祭壇に飾る遺影写真を作成する場合は、元の写真を引き伸ばさなければならないため、故人様の顔が鮮明に大きく写っている写真を選びます。写真は顔にピントが合っていて、顔が10円玉以上の大きさで写っているものが望ましいです。

光の当たり具合で顔が暗くなったり、光がメガネに反射して目元がよく見えなかったりしている場合、加工によってある程度の改善は可能です。しかし加工しすぎると、故人様本来の表情から離れてしまいがちであるため、できるだけ加工の必要がない写真を選ぶことをおすすめします。

3.ご本人・ご家族が気に入っている

遺影写真には、亡くなる1年~5年以内のものを選ぶ方が多いようですが、「何年前までの写真を使わなければならない」といった決まりはありません。

特に使いたい写真であれば、若いころのモノクロ写真を使う方もいらっしゃいます。ご本人やご家族が気に入っている写真を選ぶのがベストです。

4.遺影写真は免許証などから作成することも可能

遺影写真は免許証などから作成することも可能

適切な写真がない場合や、急な葬儀で写真を探している時間がない場合などには、運転免許証やマイナンバーカード、パスポートなどにある証明写真を遺影写真に利用することもできます。これらの写真は、正面を向いており、顔がはっきりと写っているので遺影写真として使いやすいといえます。

写真の加工により背景の変更や服装の修正などが可能ですから、たとえば、運転免許証やマイナンバーカードの写真でも、背景や服装を変更することで、故人様らしい遺影写真を作成することができるでしょう。

5.遺影写真の大きさ・データサイズ

ここからは、遺影写真を印刷するときの大きさと、写真をデジタルデータで用意する場合のデータサイズについて解説します。

印刷サイズ

遺影写真の大きさには、一般的に祭壇用と焼香台用(自宅の仏壇用)の2種類があります。それぞれの概要と印刷サイズについて、下の表にまとめました。

【遺影写真の種類別の概要と印刷サイズ】
概要 よく用いられる
印刷サイズ
祭壇用 ・通夜や葬儀の際、葬儀会場の正面や祭壇中央に飾られる
・サイズは大きめで作成
・四つ切(254mm×305mm)
・A4(210mm×297mm)など
焼香台用
(仏壇用)
・通夜や葬儀で焼香台に置かれる
・葬儀後は自宅の仏壇などで飾ることも可能
・L判(89mm×127mm)
・2L判(127mm×178mm)など

データのサイズ

画像のデータ形式には複数の種類がありますが、JPEGなどの一般的な形式であれば問題ないところがほとんどです。ただし、依頼先によって対応が異なることがありますので、確認しておくとよいでしょう。

祭壇用の遺影写真は印刷サイズが大きいため、画素数が200万画素以上のものが望ましいとされています。画素数とは、ピクセルの総数のことです。たとえば幅1600ピクセル、高さ1200ピクセルの画像の画素数は1600×1200=192万画素となり、約200万画素に相当します。

画素数が低いと、写真を引き伸ばした際に画質が粗くなり、故人様の顔がぼやけてしまう可能性があります。

6.遺影写真のフレームの決まりはある?

遺影写真のフレームの決まりはある?

遺影写真を入れるフレーム(写真立て・額縁)に特別な決まりはありません。フレームの色やデザインも写真同様に、自由に選んでかまわないのです。

かつて遺影写真を入れるフレームの色には黒が多く選ばれていましたが、最近では白やブラウン、パステルカラーなどの色も見られます。デザインも、シンプルなデザインから装飾が施されたものまでさまざまです。素材も木製や金属製などさまざまありますから、故人様やご家族の趣味、飾る場所に合わせて選ぶとよいでしょう。

なお、遺影写真のフレームについては、葬儀社のプランに含まれている場合も多くあります。

7.遺影写真を事前に自分で用意する方法

ここまで葬儀を行うことが決まってからの遺影写真の準備の流れについて解説しました。ここからは、生前に自分で遺影写真を用意する方法を解説します。

1.お気に入りの写真から遺影写真を作成する

事前に遺影写真を用意する手段のひとつに、すでにある写真から作成する方法があります。フォトスタジオなどに、デジタルカメラなどで撮影した写真データやプリント写真を送って作成してもらいます。ぼやけている以外の修正は、たいてい可能です。

遺影写真の加工自体には時間はかからないため、思い立ったときに気に入った写真を選んで遺影写真を作成してもよいでしょう。

2.フォトスタジオ・写真屋で撮影してもらう

事前に遺影写真を用意するもうひとつの手段は、フォトスタジオでプロのカメラマンに撮影してもらうことです。生前に遺影写真を撮影することは、近年、終活の一環としても注目されています。

生前に遺影写真を撮影するメリットとして、自分の好きな服装やメイクで撮影できる点が挙げられます。これにより、自然な表情や自分らしい姿を質の高い写真で残せます。さらに、ご家族が、葬儀の準備や手続きに追われる中で、最適な写真を探す手間を省くこともできます。

8.遺影写真に関するQ&A

遺影写真に関するQ&A

A.故人様らしい、生前の自然な姿をあらわしたものがふさわしいといえます。ただし、遺影写真の服装は、あとから加工することも可能であるため、選ぶ際、最優先にする必要はありません。

遺影写真でもっとも重要なのは、ピントや画素数です。高画質で鮮明な写真を選び、服装を変更すれば、故人様の雰囲気がしっかり伝わる遺影写真にできます。

A.遺影写真の背景は、無地でなくてもかまいません。

かつては青系の無地の背景が日本人の肌色に映え、清涼感を与えるために好まれる傾向にありましたが、遺影写真の背景に本来決まりはないのです。

遺影写真は故人様をしのぶためのものですから、故人様らしさやお人柄が表れていることが重要です。したがって、たとえばアウトドアの活動が趣味だった方には自然の風景の背景が適しているように、好きな風景をバックにした遺影写真でよいでしょう。

A.遺影写真に厳密なルールは存在しないため、全身が写っている写真でも問題ありません。

テニスがお好きだった方であれば、ラケットを持ってかまえている全身のカットを使用することができます。家庭菜園が趣味だった方の場合は、野菜を手に収穫を喜ぶ姿の写真を遺影として選んでもよいでしょう。

A.あとから遺影写真を差し替えることは可能です。

通夜や葬儀までの準備期間が短く、急いで選んだ写真に納得できない場合もあります。遺影写真には明確な決まりはないため、たとえ通夜や葬儀に間に合わなくても、つづいて行われる法要などで新しい遺影写真にすることができます。

9.参列者の記憶に残る故人様らしい遺影写真にしましょう

遺影写真は、故人様をしのび、その人の生前の姿を思い出すために重要な役割を果たします。そのため遺影写真には、参列者の記憶に残るような故人様らしい写真を選ぶことが何よりも大切です。

今回の記事をお読みになり、後悔のない遺影写真の準備にお役立ていただければ幸いです。

遺影写真について疑問や不安がある方は、どんな小さなことでもどうぞ花葬儀事前相談までご連絡ください。経験豊富なスタッフが、お客様のお気持ちにより沿いながら、24時間365日体制でお答えします。

また、花葬儀では、事前に遺影写真に使いたい写真や画像データをお預かりすることも可能です。皆様の大切な思い出を丁寧にお守りいたしますので、どうぞ安心してお気軽にご相談ください。

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