オンライン葬儀の準備と流れ|喪主が知っておくべき注意点・マナーも解説
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- 【 葬儀・葬式の基礎知識 】
「オンライン葬儀」とは、インターネットを活用した新しい葬儀の形です。遠方のご親族が多い、高齢や病気で参列が難しい方がいる…そんな時でも、オンライン葬儀なら、共に故人様を見送ることができます。
今回は、オンライン葬儀について「一般的な葬儀との違い」「準備と流れ」を詳しく解説します。また、「喪主様が押さえておくべき注意点」「オンライン葬儀にかかる費用相場」なども併せてご紹介しますので、これを読めば、オンライン葬儀への理解が深まるでしょう。ぜひ最後までお付き合いください。
【もくじ】
1.オンライン葬儀とは?一般的な葬儀との違い
まずはオンライン葬儀について、一般的な葬儀との違いを詳しく解説します。
オンライン葬儀の定義
「オンライン葬儀」とは、インターネットでライブ配信する葬儀を指します。参列者は「Zoom」「Skype」などのビデオ通話ツール、または「葬儀社独自の配信ツール」を通して葬儀に参列します。そのため、「リモート葬儀」とも呼ばれます。
現在、オンライン葬儀は、参列者全員がリモートで参加するという形よりも、遠方にお住まいの方やご事情により参列が難しい一部の方が、オンラインで参加するという形が一般的です。
オンライン葬儀は、2010年代前半からサービスが提供されていたとされますが、新型コロナウイルスが流行した2020年以降に急速に普及し、現在も諸事情により参列が難しい方への配慮として選ばれることがあります。
一般的な葬儀との違い
オンライン葬儀は、一般的な葬儀の流れと同じように執り行うことができます。大きな違いは、以下の3点です。
【ご遺族に関係する相違点】
・配信のための事前打ち合わせが必要
(カメラの位置やネットワークの環境、参列者の受付や案内はどうするのか など)
・葬儀会場に配信用のカメラが設置される
【参列者に関係する相違点】
・パソコンやスマートフォンなど、配信を視聴するためのデバイスと通信環境が必要
2.オンライン葬儀の一般的な流れ
事前準備から当日まで、オンライン葬儀はどのようなステップを要するのでしょうか。
こちらでは、オンライン葬儀の一般的な流れをご紹介します。
オンライン葬儀の準備
オンライン葬儀の準備は、以下の流れで行います。
葬儀社に相談・打ち合わせ
全ての葬儀社がオンライン葬儀に対応しているとは限らないため、まずは、葬儀社に「オンライン葬儀が可能か」を確認しましょう。
オンライン葬儀への対応が可能であれば、「サービス内容のチェック」「資料請求」「事前見積もり」などを行い、依頼したい葬儀社を決定します。その後、必要な相談・打ち合わせを行います。
葬儀の日時・場所・配信方法を決定
葬儀の日程、場所、配信方法など、以下の内容について決めましょう。
【一般的な葬儀と同じこと】
・日程
・場所
・予算
・喪主様
・葬儀の規模
・宗教・宗派
・火葬場の予約
・祭壇や飾る花の種類
・参列者への案内方法
・その他葬儀への希望 など
【オンライン葬儀ならではのこと】
・配信方法
・配信用カメラの位置
・葬儀に直接参列する人の選択
・お香典の受け取りや記帳方法 など
葬儀の案内
参列者に葬儀の案内状を送ります。案内には、「日時」「場所」「喪主名」などのほか、「オンライン葬儀に参列するためのツールと、参列に必要な情報(設定方法やパスワードなど)」の記載が必須です。
案内状は、相手との関係性や必要に応じて電話、メールなどで伝えます。葬儀までに時間的な余裕がある場合は、郵送することもあります。
なお、案内状は直筆である必要はなく、デジタルで作成しても問題ありません。案内状の作成・送付を代行してくれる葬儀社もありますので、詳しくは葬儀を依頼する葬儀社にご確認ください。
オンライン葬儀当日の流れ
オンライン葬儀当日は、一般的に以下のような流れで進行します。
受付
一般的な葬儀では、会場入り口に受付を設けて記帳やお香典の受け取りを行います。しかし、記帳作業やその後の名簿管理は、喪主にとって負担となることも少なくありません。そのような負担を減らしたい場合には、オンライン記帳サービスの利用をおすすめします。
オンライン記帳サービスは、オンライン葬儀だけでなく、通常の葬儀でも利用可能です。サービス内容は葬儀社によってさまざまですが、弊社「花葬儀」でご提供しているオンライン記帳システムには、以下のような特徴があります。参考にご覧ください。
【花葬儀 オンライン記帳システムの特徴】
・訃報連絡に記載されているQRコードを通じて、専用サイトから受付ができる(事前記帳も可能)
・記帳と共に、故人様へのメッセージを送ることができる
・喪主様は事前に参列者の人数を把握することができるだけでなく、記帳データの管理が楽になる
式の進行
打ち合わせで決めた流れに沿って、式を執り行います。基本的な流れは以下にある一般的な葬儀に準じます。
【一般的な葬儀の流れ】
1.参列者が揃い、僧侶が入場
2.喪主様の挨拶、開式
3.僧侶による読経
4.焼香
5.喪主様の挨拶、閉式
6.出棺
喪主様挨拶では、オンラインで参列されている方々にも配慮し、会場内の参列者だけでなく、カメラに向かって話すことも意識すると、オンライン参加者もより一層葬儀に参列している実感を持ちやすくなります。
なお、オンライン配信は、葬儀会場内でのみ行います。火葬場や火葬炉の前での撮影は、通常禁止されているため、オンラインでの参列は、葬儀が終了した時点で終了となります。
葬儀後日
オンライン葬儀が終わった後でご遺族が行うことも、一般的な葬儀と同じです。
【葬儀後日にご遺族が行うこと】
・香典返しの用意
・初七日法要(葬儀当日にまとめて行った場合は不要) など
また、ご遺族の希望によっては、葬儀社から録画映像や画像の提供がされることもあります。
3.オンライン葬儀のメリット
オンライン葬儀にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
こちらで詳しくご紹介します。
参列のハードルを下げられる
オンライン葬儀の大きなメリットのひとつが「参列のハードルを下げられる」ことです。例えば遠方に住んでいるご親戚、ご高齢で移動が難しい方でも、葬儀に参列しやすくなります。
場所や時間の制約を受けないため、多くの方に見送ってもらいやすい点もメリットと言えるでしょう。
飲食費、移動費などを軽減できる
一般的な葬儀では、葬儀・告別式の後、参列者に精進落としなどの食事を提供します。しかしオンライン葬儀の場合、オンラインでの参列者の食事は不要となります。また、火葬場や会食会場への移動に利用する送迎バスも、オンライン参列者が多い場合は小型化できるため、移動にかかる費用を抑えることが可能です。
ただし、どの程度費用を軽減できるかは、葬儀の内容や、オンライン参列者の人数によって大きく異なります。詳しくは、後述する「オンライン葬儀の費用と相場」をご覧ください。
感染症対策として有効
多くの人が集まる場所では、感染症のリスクが高まります。それぞれ自分に都合のよい場所から参列できるオンライン葬儀は、感染症対策として有効です。ご高齢の方や妊婦 、そのほか健康不安を覚える方々が、安心して葬儀に参列することができます。
4.オンライン葬儀のデメリット
メリットだけを見て葬儀を決めるのはおすすめしません。後悔のない葬儀を執り行うためには、デメリットも含めて慎重に検討することが大切です。
こちらでは、オンライン葬儀のデメリットをご紹介します。
ネット環境が必須
オンライン葬儀に参列するためには、配信に適したネット環境や、パソコンなどの媒体が必要です。もし、必要な環境が揃っていない場合は、新たに用意いただくか、直接参列していただくことになるでしょう。
また、諸事情でインターネット回線に不備や障害が起こった場合、葬儀そのものを配信することができなくなってしまいます。一般的な葬儀にはないトラブルが起きる可能性がある点に、注意しなくてはなりません。
デジタルに不慣れな方にはハードルが高い
オンライン葬儀の配信は、ZOOMやSkype、その他葬儀社が独自に提供する専用のプラットフォームを使うとご説明しました。デジタルツールやデジタル操作に不慣れな方にとっては、「配信を見られるようにする」ことだけでも、難しく感じられるかもしれません。
全ての方にオンライン葬儀へスムーズに参列していただくためには、わかりやすい説明やフォローを心がける必要があります。
リアルな葬儀の雰囲気を感じにくい
オンライン葬儀では、焼香の香りやおごそかな空気感、参列者の感情の機微など、現地ならではの雰囲気を体感しづらいという点があります。また、ご遺族や故人様に直接接することができないため、心の交流が希薄になりがちです。こうした要素が欠けることで、故人様との最後の別れを実感しにくく、心の整理がつきにくいという課題があります。
プライバシーやセキュリティへの配慮も重要
オンライン葬儀の配信では、パスワードや招待リンクなどを用いたアクセス制限を行っています。しかし、「制限が不十分だった」「招待リンクが意図せず拡散された」といったことが起こってしまうと、葬儀に関係のない不特定多数が視聴できてしまいます。その結果、故人様やご遺族のプライバシーが侵害されてしまうかもしれません。
安全な環境で葬儀を執り行うためには、プライバシーへの配慮と万全なセキュリティ対策も重要です。
5.オンライン葬儀の葬儀社選びの注意点
後悔の残る葬儀にしないためには、信頼できる葬儀社に依頼することが重要です。
オンライン葬儀の実績はもちろんのこと、ご遺族の要望をどれだけ丁寧に汲み取ってくれるか、費用について明確な説明があるかどうかが大切になります。葬儀場によっては電波状況が悪い場合もあるため、専用の機材やプラットフォームを準備できるかどうかも確認したい点です。
オンライン葬儀を行う上で、特に注目したい「葬儀社選びのコツ」を以下にご紹介します。
【オンライン葬儀を行う上でキーとなる葬儀社選びのコツ】
・葬儀そのものに対して、最大限要望をくみとってくれるか
・費用について明確な説明をしてくれるか
・オンライン葬儀の施行実績が豊富か
・配信に必要な機材やプラットフォームを適切に準備できるか
これらのポイントは、パンフレットやホームページの記載を読むだけでは把握できません。対面での事前相談を利用し、納得のいく葬儀社を見つけましょう。
6.オンライン葬儀の費用と相場
オンライン葬儀の費用は、一般的な葬儀と比べてどの程度変わるのでしょうか。
こちらでは、オンライン葬儀の費用と相場を解説します。
オンライン葬儀で発生する費用
オンライン葬儀の費用は「通常の葬儀でかかる費用」に「オンライン葬儀独自の費用」を合算したものとなります。具体的にどのような費用が発生するのか、内訳を見ていきましょう。
【オンライン葬儀で発生する主な費用】
・配信機材レンタル、設置費
・撮影、配信費用
・専用システム利用料
・メモリアルムービー制作、追加配信などにかかる費用
これらの費用を合計すると、オンライン葬儀にかかる追加費用としては、数万円~十数万円程度が目安となります。
機材のレンタルや専用システムの利用料は、無料~数万円としている葬儀社が多いようです。一方、撮影やメモリアルムービー制作などは、数万円~数十万円と、費用に幅があります。プロのカメラマンによる撮影や、電波が不安定な場所でも確実に配信できる独自配信システムの利用など、品質に応じて費用が変動することを押さえておきましょう。
オンライン葬儀で抑えられる費用、追加でかかる費用
オンライン葬儀のメリットとして、一部費用を軽減できるとご紹介しましたが、一般的な葬儀よりも絶対的に安くなるとは限りません。
オンライン葬儀は、どうしても参列できない方のために、通常の葬儀に「プラスα」の価値を提供するサービスである側面があります。そのため、従来の葬儀に加えてオンライン配信に関する費用が発生し、結果的に従来の葬儀よりも費用が高くなる場合があることにご注意ください。
以下に、オンライン葬儀で費用を抑えられる項目や、抑えられない項目をご紹介します。
【通常の葬儀と比較した場合、抑えやすい費用の例】
・会場費
・飲食費
・会葬礼費
・送迎バスの移動費 など
【抑えられない費用の例】
・基本料金
(祭壇、棺、遺影写真、ドライアイス、安置所利用、位牌、花、焼香用具、骨壺、寝台車、スタッフ人件費 など)
・宗教者に渡すお布施
・香典返し など
どのような葬儀形式であっても、費用は内容によって大きく変動しますので、葬儀社に見積もりを取り、内容と費用を比較検討することが大切です。
7.オンライン葬儀の服装マナー
オンライン葬儀を行う際に、悩んでしまうのが服装です。直接参列される方とオンラインで参列される方、それぞれの服装をご紹介します。
まず、会場に直接赴いて参列される方は、一般的な葬儀と同じように喪服を着用するのがマナーです。男性は黒のフォーマルスーツ、女性は黒のワンピースやアンサンブルを着用しましょう。詳しくは、「葬儀の服装」の記事を参考になさってください。
パソコンやスマートフォンを通じてオンラインで葬儀に参列される方の場合、喪服の着用は必須ではありません。顔を出さずに視聴のみを行うようであれば、シンプルなデザインの私服でもよいでしょう。
8.オンライン葬儀では焼香はどうする?
オンラインで葬儀に参列する場合、バーチャルシステムなどを導入していない限り、焼香を行うことはできません。もしどうしても焼香を行いたいのであれば、直接の参列を検討していただくことになります。
一方で供花やお香典などは、オンライン参列でも郵送などで送っていただくことができます。詳しくは、この後のQ&Aをご覧ください。
9.オンライン葬儀に関するQ&A
A.お香典は現金書留や、後日手渡しでの受け取りが一般的です。供花は、通常の葬儀と同様に、生花店や葬儀社を通じて送られます。
オンラインで参列される方からのお香典は、現金書留という形で受け取るか、もしくは後日直接いただくことになるでしょう。供花は、通常の葬儀と同様、生花店に依頼して会場に届けてもらうか、葬儀社が提供するサービスを利用する方法があります。
例えば、花葬儀のエクステンション供花は、参列者からいただいた供花代を使って祭壇を拡充する仕組みで、ご遺族側の費用負担軽減につながります。ご興味のある方は、実際に花葬儀でエクステンション供花を利用されたお客様のインタビュー記事をご覧ください。
A.基本的にお渡ししません。オンライン葬儀参列への感謝の気持ちは、別の方法で表現するとよいでしょう。
「会葬返礼品」は、葬儀に参列していただいた感謝の気持ちを表すためにお渡しする品物ですが、オンラインで参列した方にはお渡ししないのが一般的です。しかし「何もしないのは心苦しい」と感じる場合は、以下のように感謝の気持ちを伝えてはいかがでしょうか。
・葬儀後に直接、または電話や手紙などでお礼を伝える
・葬儀後にお食事に招く
・お中元やお歳暮を贈る
A.葬儀のライブ配信以外では、メモリアルムービーの作成代行や、ネットを経由したメッセージの送り合いなどがあります。
オンラインで行われる葬儀サービスはさまざまです。以下に一例をご紹介します。
・故人様の写真や動画をご家族・知人が共有し、「メモリアルムービー」を作成する(葬儀で映像を流すこともできる)
・葬儀社のオンラインシステムを通じて、参列者やご遺族同士がメッセージを送り合う(いただいたメッセージを葬儀で紹介することも可能)
・オンライン記帳システムにより、参列者の事前把握や、データの管理を行う など
いただいた供花代で祭壇を拡充する「エクステンション供花」も、オンラインで行われる葬儀サービスのひとつです。サービスの種類は葬儀社ごとに異なりますので、どのようなサービスがあるかは依頼する葬儀社に確認するとよいでしょう。
10.多様なニーズに応えられる「オンライン葬儀」を活用し、理想の葬儀を叶えよう
オンライン葬儀は新型コロナウイルスが流行した時に認知されるようになりましたが、現在も、多様なニーズに沿う形で選ばれています。
オンライン葬儀に興味がある場合は、一般的な葬儀との違いや基本的な流れを押さえ、ご家族で話し合ってみてはいかがでしょうか。どのような形式をお選びになる場合でも、皆様にとって心穏やかで、温かいお見送りの時間となりますよう、心より願っております。
オンライン葬儀に関するお悩みは、花葬儀にお任せください。花葬儀は、お客様の想いに寄り添った理想のオンライン葬儀を実現いたします。ご相談は24時間365日対応の電話、もしくは無料の事前相談をご利用ください。スタッフ一同、心よりお待ち申し上げております。