葬儀でのマスクの色は黒?白?マナー違反はどっち?
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- 【 葬儀・葬式のマナー 】
「葬儀のときに着けるマスクは、黒色にするのがマナーか」という論争がインターネット上で起こったことを、ご存じでしょうか?
新型コロナウイルスの流行により、マスクを日常的に着ける習慣が定着し、葬儀においてもご遺族、参列者、葬儀スタッフのマスク着用が一般的になりました。
そのような中で「葬儀では黒色のマスクを着けるのがマナーである」という意見がネットニュースやSNSなどで取り上げられ、関心を持った方も多かったのではないかと思います。
そこで今回は、葬儀に参列する際のマスクの色について、数多くの葬儀をお手伝いさせていただいている葬儀社の立場から解説します。「葬儀に着けるマスクの色は黒色がよい」というのは本当なのでしょうか。ぜひ最後までご一読ください。
1.コロナ5類でも、葬儀でマスクは必要?
現在、新型コロナウイルスは「5類感染症」の位置づけとなり、2類相当のときにあったさまざまな制限が解除されました。移行前までは、マスクは「屋内での着用が原則」とされていましたが、現在はどのような対応が求められているのでしょうか。
マスクの色について考える前に、まずは「新型コロナウイルスが5類感染症となった現在、葬儀においてマスクは必要か」について解説します。
厚労省の基準は「個人の判断が基本」
厚生労働省のホームページでは、マスクの着用について、以下のように記載されています。
個人の主体的な選択を尊重し、着用は個人の判断が基本となります”
新型コロナウイルスが2類感染症相当であったときは、「屋外ではマスク着用は原則不要、屋内では原則着用」が行政により推奨されていました。
しかし現在は、屋内・屋外にかかわらず、マスクを着用するか否かは個人の判断に委ねられています。
出典:マスクの着用について
URL:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kansentaisaku_00001.html
参照元:厚生労働省 ホームページ(閲覧日2023年12月13日)
最終的に自己判断が尊重される
新型コロナウイルスが2類感染症であったときには、ご遺族・参列者ともにマスク着用は必須でした。しかし、5類感染症になって以降、厚生労働省の指針によれば、葬儀でのマスクは「着用しても、しなくてもよい」といえます。
葬儀に高齢者や妊婦の方などの感染リスクが高い方が参列している可能性がある場合は、コロナやインフルエンザなどの感染症予防のため、マスクを着用するとよいでしょう。ただし、最終的には個人の自由が尊重されますから、個人の判断によりマスクを着用するか、しないかを決めることができます。
葬儀社である花葬儀でも、スタッフはマスクを着用していますが、ご遺族や参列者については、厚生労働省の指針に準じ、個人個人のお考えを尊重し、ご自由に判断していただいております。
2.葬儀のマスク、ネット上で「黒か白か」で激論に
感染拡大防止の観点から三密(密閉・密集・密接)となりうる葬儀においてマスク着用が求められていたころ、「葬儀では黒色のマスクを着けることがマナー」という意見がYahoo!ニュースに取り上げられました。それに対し、賛否両論がSNSや他のネットニュースで広がり、激論へと発展したことを覚えている方もいらっしゃるかもしれません。
当時、各方面からさまざまな立場の人が見解を発表しました。論争の決着はつきませんでしたが、多くの方が「葬儀では何色のマスクを着けることが正しいのか」という疑問を抱いていたことの証であるといえるでしょう。
3.葬儀でのマスクの色は白でも黒でもOK!
当時大論争となった「葬儀にふさわしいマスクの色」ですが、結局、白色と黒色のどちらがよいのでしょうか。
葬儀社として、この疑問にお答えします。
葬儀におけるマスクの色に明確な決まりはない
葬儀におけるマスクの色や形、柄において、「こうでなくてはならない」というマナーはまだ定まっていません。つまり、「白色か黒色か」については「現状どちらでもよい」が正解です。
葬儀は故人様とお別れするための厳かな儀式ですから、派手なデザインでなければ、白色でも黒色でも問題ありません。
「白が無難だが、黒でもよい」との意見が主流
葬儀におけるマスクは「白でも、黒でも問題ない」とご紹介しましたが、実際は「白色のマスク」が多く選ばれています。迷ったら、白色を選ぶのが無難でしょう。
白色が無難とされる理由のひとつに「黒色のマスクはカジュアルだと捉えられる可能性がある」という点が挙げられます。しかし、先ほどもご説明したように、黒色がマナー違反というわけではありません。手元に黒色のマスクしかない、もしくは喪服の色に合わせて黒色にしたい場合には、黒色のマスクを着用してもよいでしょう。
白色が無難とされる他の理由については、次の項にて詳しくご紹介します。
4.「葬儀におけるマスクは白色が無難」とされる理由は?
「葬儀のマスクは白色が無難」とされる理由として、前述した「黒色のマスクがカジュアルに捉えられる可能性がある」の他にも、異なる理由が推測されます。それらの理由について、ここから詳しく解説します。
昔の日本の葬儀では白色が使われていた
葬儀の色としては、多くの方が黒色を思い浮かべるかもしれませんが、実は日本古来の葬儀においては「白色」が基本でした。
「葬儀の色=黒色」のイメージが定着したのは、約100年前に外国の葬儀文化を取り入れたことがきっかけだといわれています。それまでは、葬儀の参列者は白い喪服を着ていました。
日本では古くから、白色には「新たに生まれる」「生まれ変わる」「穢(けが)れ(※)がない」という意味があります。結婚式における白無垢(しろむく)や、古代の神話や伝説に登場する白い動物など、白は神聖で清らかな色であると考えられてきました。
現代では黒が葬儀のイメージとして主流になりましたが、もともとの白色文化も残っています。
たとえば、葬儀で故人様が身に着けるのは白装束ですし、葬儀会場に白と黒の鯨幕(くじらまく)も、日本の本来の白の慣習と、海外から取り入れた黒の慣習を合わせたからという説があります。また、参列者が身に着けるものとして、「白いハンカチ」「白い真珠のネックレスやイヤリング(ピアス)」も一般的です。
このように、白色は日本古来の葬儀の色であり、神聖な色であるという理由から、葬儀のマスクは白色が無難であるとされているようです。
※穢れ:神道における観念のひとつ。死や疫病など、危険や不幸をもたらすものなどを主に指す。汚れ(けがれ)ではない。
不織布マスクは白が手に入りやすい
コロナ禍においては、着用するマスクを「不織布(ふしょくふ:繊維を織らずに接着した生地)」に限定していたところもありました。これは、不織布製のマスクの方がウレタン製や布製に比べ、概して感染予防に効果があるという研究結果が基となっています(ただし、製品によって性能には幅があります)。
コロナ禍初期には、主に白色の不織布マスクが販売されていましたが、欠品騒動が落ち着いた現在は、薬局やコンビニなどで簡単に手に入るようになりました。今は黒色の不織布マスクも見かけますが、白色に比べると数・種類は限られています。
また、葬儀では三密になりやすく、感染予防効果の高い不織布マスクを着けることが推奨され手に入りやすい白色の不織布マスクの需要が高まった結果、「葬儀では白色が無難だが、黒色のマスクでも問題ない」とされるようになったのかもしれません。
なお、不織布マスクをおすすめする理由については、この後の「葬儀のマスクは色だけでなく素材や機能も考慮を」にて詳しく解説します。
5.葬儀でマナー違反にならないマスクの色は?
白色と黒色以外にも、葬儀で着用してもマナー違反にならないマスクの色はあるのでしょうか?
ここから、詳しく解説します。
葬儀にふさわしいマスクの色
葬儀で着用してもマナー違反にならないマスクの色というのは、言い換えると「厳かでフォーマルな場にふさわしい色」です。白色と黒色以外では、「濃いグレー」「ベージュ」が挙げられます。
ただし色の捉え方には個人差があるため、濃いグレーやベージュをカジュアルだと捉える方もいるかもしれません。不安であれば、白色のマスクを着用することをおすすめします。
葬儀で「マナー違反」になるマスクの色
葬儀において着用するとマナー違反になる色は、上に挙げた色以外です。具体的には「赤」「ピンク」「紫」「黄」「緑」「水色」などが該当します。
「茶色」「紺」も比較的落ち着いた色合いではありますが、マスクの色としてはカジュアルな印象を与えてしまう可能性があるため、控えた方がよいでしょう。
葬儀にふさわしいマスクの色の考え方は、葬儀で身に着ける喪服や小物と同じですから、派手さやカジュアルさを避けるよう心がけます。
なお、白色や黒色のマスクでも、ファッション性の高い商品はフォーマルな場にふさわしくありません。例えば、紐の色が違ったり、フリルやワンポイント、柄がついていたりするものは、着用は避けましょう。
葬儀においては、マスクはもちろん、服装や持ち物などについても注意が必要です。「「葬儀の服装・持ち物・身だしなみ ~知っておきたい身支度マナー~」の記事を参考にしていただいた上で、参列されてはいかがでしょうか。
6.ご遺族の場合、葬儀におけるマスクの色はどうするべき?
ご遺族のマスクの色も、一般の参列者と同じように考えます。「葬儀で『マナー違反』になるマスクの色」でもご説明した以下のポイントを参考になさってください。
・白色と黒色どちらでも問題ないが、黒色よりも白色を無難とする考えが多い
・白色と黒色以外では、濃いグレーまたはベージュもよいとされているが、カジュアルと捉えられる可能性がある
・白色や黒色であっても、ワンポイントや装飾があるもの、紐の色が違うものはNG
なお、家族葬におけるマナー・服装は、「家族葬のマナーを徹底解説!【ご遺族・参列者向け】」の記事が参考になります。ご遺族・参列者それぞれに応じて解説しておりますので、ご覧ください。
7. 葬儀のマスクは色だけでなく素材や機能も考慮を
葬儀参列時のマスクの色についてご紹介してきましたが、マスクは色だけではなく、素材や機能性にも注意が必要です。
葬儀などの多くの人が集まる場では、コロナに限らず、季節性ウイルスや風邪などの感染拡大のリスクもあります。
葬儀に参列する際は、ご高齢の方や妊婦など免疫力が低い方がいることを考慮して、機能性が高いマスクを選ぶとよいでしょう。
参考として、以下にマスクを着用した際の通気性と捕集(ほしゅう)性能について、マスクの素材ごとにまとめた図をご紹介します。捕集性能とは、ウイルスなどをどのくらいフィルタリングできるかの指標です。
出典:「室内環境におけるウイルス飛沫感染の予測とその対策」
9ページ「マスク素材違いの影響」
提供:理研・豊橋技科大・神戸大,協力:京工繊大・阪大・大王製紙
URL:
(掲載ページ)
https://www.r-ccs.riken.jp/fugaku/history/corona/projects/tsubokura/
(資料)2020年11月26日 記者勉強会 発表資料(7.59MB)
https://www.r-ccs.riken.jp/wp/wpcontent/uploads/2021/01/20201126tsubokura.pdf
青い点線で囲まれたグループが3つありますが、布製マスクやウレタン製マスクの群に比べ、不織布マスクのほうがおおむねウイルスを拡散させにくいことが分かります。
ただし、種類によって性能に幅があり、中には布マスクよりも捕集性能が劣る不織布マスクもあるため、注意が必要です。
通常、ウイルスを拡散させにくいほど、マスクの通気性は低下します。ご自身の考えや体調も考慮して、適切なマスクを選ぶことをおすすめします。
8. 葬儀のマスクは白色でも黒色でも問題なし
一時期、ネットを中心に「葬儀では黒色のマスクを着けることがマナー」という意見が議論を巻き起こしましたが、実際は白色でも、黒色でも問題ありません。判断に迷ったら、さまざまな素材の中でも機能性に優れた「不織布製の白色のマスク」を着用するとよいでしょう。
葬儀において最も大切なのは、故人様とご遺族に対する礼節です。そのため、免疫力の低い方への配慮や、カジュアルな印象を避ける装いを心がけることが大切です。
葬儀への参列に際して、マスク選びもマナーの一部として意識されてみてはいかがでしょうか。
今回、マスクの色について解説をした花葬儀は、大切な方の最後やご家族の想いを大切にしている葬儀会社です。他社にはない「オリジナル花祭壇」や「オーダーメイドのお葬式」などが特徴で、家族葬、一日葬、一般葬、自宅葬、社葬、火葬式など、多くの葬儀プランをご用意しております。
詳細は「花葬儀のプランと葬儀費用」のページにも掲載しております。気になる方は、ぜひお気軽にご相談ください。