葬儀の塩の意味やマナー、使い方|使わない場合・宗教ごとの考え方も解説

葬儀の塩の意味やマナー、使い方|使わない場合・宗教ごとの考え方も解説

葬儀に参列すると、塩の入った小さな包みをもらうことがあります。昔ながらの葬儀が簡略されつつある現代では、この塩の意味や正しい使い方を知らない方も少なくありません。

そこで今回は、葬儀で配られる塩の意味や、使い方のマナーについて詳しく解説します。さらに、葬儀で塩が使われるようになった文化的背景や、宗教ごとに異なる「葬儀の塩」の考え方なども、あわせてご紹介します。どうぞ最後までお読みください。

1.葬儀でなぜ塩をかける?いつから使うようになった?

葬儀でなぜ塩をかける?いつから使うようになった?

葬儀では、なぜ塩を使うのでしょうか。また、その慣習はいつから始まったのでしょうか。

まずは、日本における葬儀と塩の歴史について、解説します。

葬儀で塩はいつから使われるようになった?

塩によるお清め効果は、日本最古の歴史書である「古事記」にも記されており、「イザナギノミコトが黄泉の国から逃げ帰った際に、海水で体を清めた」とあります。また、梅干しや干物など、長期保存のきく食べ物には塩が欠かせないことから、塩は腐敗を遅らせる強い力があると広く知られるようになりました。

これらの背景から、「海水を浴びて身を清める」「海水を沸かした塩湯(えんとう)を、病気の治療や無病息災のために用いる」といった風習が民間に広まりました。そして、昭和40年ごろから、葬儀参列者に塩が配られるようになったといわれています。

なお、清め塩と混同しやすいものに「盛り塩」があります。盛り塩は中国の故事が元になっており、邪気を払い清めたり、運気を呼び込んだりする役割がありますが、意味や使われ方が清め塩とは異なりますので、注意しましょう。

通夜や葬儀・告別式で塩を使う意味

葬儀で配られる塩は「清め塩(きよめじお)」と呼ばれ、体にかけて使います。その目的は、「穢(けが)れから身を清めるため」です。

穢れとは「汚れている」という意味ではありません。本来は「気枯れ(けがれ)」であり、「死」「出産」「出血」「病気」などで活力や気力が失われ、エネルギーが低下している状態を指しています。気が枯れている状態のままではよくないということから、人の死に触れる通夜や葬儀では塩で体を清め、穢れ(気枯れ)をはらうようになったそうです。

2.葬儀があったら塩で清めなければいけない?

「お清めのために塩を使う」という考えは、神道からきています。神道は古来より存在する宗教であり、日本の民間信仰でもあります。その神道の教義を組み込んで書かれたのが古事記です。「イザナギノミコトが海水で身を清めたお話」が長い時を経て「葬儀に参列したら塩で清める」風習となり、やがて宗教に関係なく浸透していったと考えられます。

では、葬儀で絶対に清めの塩を使わなければいけないのかというと、必ずしもそうではありません。

参列者の中には、死を穢れと捉えない方や、古くからの習わしに関心のない方もいます。また、近年では形式にとらわれない葬儀を選ぶ人が増え、清め塩を用意しないケースも出てくるようになりました。

葬儀に参列したら塩で清めるかどうかは、ご自身の信仰している宗教や信念にのっとって決めるのがよいでしょう。

花葬儀では、葬儀が神式かどうかに関係なく、全ての葬儀の会葬御礼に清め塩をお付けし、使用は個々の判断にお任せしております。

なお一部の地域では、塩以外のもの(米、味噌、餅など)を使ってお清めすることもあります。不安な場合は地域の慣習に詳しい人に確認するとよいでしょう。

3.葬儀で塩を使わない宗教・宗派もある

宗教によっては、葬儀で塩を使わないこともあります。こちらでは、各宗教・宗派における「清め塩」についての考え方をご紹介します。

仏教

清め塩は神道の慣習ですから、仏式の葬儀には本来関係のないものです。しかし、清め塩が昔から宗教宗派関係なく広く浸透しているものであることから、仏式でも配られることがあります。

ただし、仏教のひとつである浄土宗・浄土真宗では、葬儀で清めの塩は配りません。特に浄土真宗では、亡くなった人はすぐに極楽浄土へ往生するとされているため、死を穢れとみなし清める行為は不適切とされています。

キリスト教

キリスト教では、死を含めた全てのことが神の意思によって起こると考えています。死を「穢れ」や「不浄」といった否定的なものとして捉えていないため、葬儀で清め塩を使うことはありません。

創価学会

創価学会は、仏教やキリスト教と同様に、「葬儀後に塩で身を清める」という教義はありません。しかし、ご遺族の意向などにより、清め塩を配ることもあるようです。

4.家族の葬儀では清め塩はしない?

家族の葬儀では清め塩はしない?

清め塩は「死」に対して意味を持つ儀式であるため、原則として、ご遺族も含めた葬儀に居合わせた人全員が対象となります。

しかし、ご家族の葬儀に参列した場合には、清め塩を使わないのが一般的です。これは「亡くなったとはいえ、家族を不浄のものとして扱いたくない」という考えによります。

ここでいう「家族」とは、ご遺族や、同居している人をいいますが、明確な線引きはありません。

また、家族の葬儀で清め塩が禁止されているわけではないため、「自分自身にけじめをつけたい」「昔からの慣習でなんとなくやっておきたい」「身内でも、死はやはり恐怖を感じるから形だけでも撒いておきたい」といったような場合は、清め塩を使っても問題ありません。

5.葬儀での塩の正しい使い方・マナー

ここでは、葬儀において清め塩を使うタイミングや、作法をご紹介します。

清め塩を使うタイミング

清め塩を使うタイミングは、「家に入る前」です。具体的には「通夜から家に帰ったとき」や「葬儀または火葬場から家に帰ったとき」の玄関先で行います。穢れを家の中に持ち込みたくない場合は、家に入る前に塩を使うとよいでしょう。

塩で清める順番・やり方

清め塩をひとつまみしたら、下記の順番に振りかけます。
・胸
・背中
・足元

これは、体の中の血が巡る順番と同じです。衣服についた塩は払い落としましょう。

上記の作法以外にも「まいた塩を最後に脚で踏む」「塩をかける前に水で手を洗う」など、地域や風習によって異なることがあります。清め塩の基本的な使い方については、「お清め塩の使い方」もあわせてご覧ください。

6.葬儀の塩に関するQ&A

A.個人の信条に従って、使うかどうか判断していただいて構いません。

葬儀の清め塩は神道の慣習ですが、たとえ神式の葬儀に参列したとしても「絶対に塩で清めなくてはならない」という厳格なルールがあるわけではありません。したがって、清め塩に抵抗があるようであれば、無理に行う必要はありません。

ただし、喪主様が用意した清め塩をその場で拒否すると事を荒立ててしまいますから、自宅に帰った後で処分するなど配慮を心がけましょう。

A.食べずに廃棄してください。

葬儀参列者に配られる清め塩の袋には「非食用」と書かれている場合が多くあります。これは、体を清めるための塩だからという意味ではなく、食塩の他に湿気防止用の乾燥剤などが入っており、食用の基準を満たしていないからです。

清め塩が余ったら、食べずにゴミとして廃棄してください。自身で用意した清め塩が市販の食用である場合は、この限りではありません。

A.市販の食塩で問題ありません。

葬儀で配布される清め塩が食用・非食用かによって、清めの効果が変わるわけではありません。したがって、葬儀で清め塩が渡されなかったときや、個人の信条で清め塩を用意しておきたい場合は、市販の食塩や自宅にある塩で代用してみてはいかがでしょうか。

A.清め塩は昔からの葬儀の風習のひとつですから、清め忘れてしまったとしても深く気に病む必要はありません。

もしどうしても気になる場合は、もう一度家の外まで出て、塩で体を清めてから家に入り直しましょう。

7.葬儀の塩を使うかどうかは個々の判断でOK

葬儀の塩を使うかどうかは個々の判断でOK

葬儀に参列した際に配られる清め塩は、死の穢れから身を清めるために使うものです。しかし、宗教色が薄くなり、葬儀の規模が縮小化されるようになった現代では、清め塩を使うかどうかは個人の判断に任されています。葬儀後に塩を使い清めたい場合は、タイミングと作法を知っておくとよいでしょう。

葬儀に関する作法や慣習は数多くあり、特に葬儀を執り行う喪主様にとっては、不安なことも多いのではないでしょうか。花葬儀では、葬儀に関するお悩みを少しでも解消していただくために、「事前相談」を承っております。どんなことでもお気軽にご相談ください。

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