弔辞は誰が読む?頼む方法・マナーは?家族葬の場合もあわせて解説
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- 【 葬儀・葬式のマナー 】
弔辞を誰に読んでもらうかについて、頭を悩ませる方もいらっしゃるかもしれません。ご逝去から葬儀までの時間は限られているため、弔辞に関するマナーをあらかじめ知っておけば、ご遺族や、ご遺族から弔辞の依頼を受けた方も、納得のいく形で葬儀に臨むことができるでしょう。
そこで今回は、弔辞を依頼する人や頼み方、マナーなどを解説します。近年注目を集めている家族葬におけるケースや、弔辞に立候補したい場合の対応についてもご紹介しますので、ぜひ最後までご一読ください。
1.弔辞についての基礎知識
弔辞とは、葬儀や告別式の際に読まれる、故人様へのお別れのメッセージです。適切な長さは、3分程度が好ましいとされており、これはおよそ800~1200文字、原稿用紙で数えると2~3枚程度に相当します。その範囲に収まるよう、故人様を亡くした悲しみや、故人様との思い出などを語ります。
弔辞を読む際は、マナーや使う言葉に気を付けなければなりません。しかし、ほとんどの人は弔辞を読む経験がないため、どのように準備すればよいか迷うこともあるでしょう。
弔辞の正式な書き方や例文については「弔辞の例文やマナー、書き方」にて詳しくご紹介しておりますので、ぜひご活用ください。
2.弔辞は誰が読む?
弔辞は、基本的に誰が読むものなのでしょうか。
家族葬の場合も含め、弔事を読む人や、読む人の数についてご説明します。
葬儀で弔辞を読むのはどんな人?
一般的には、弔辞はご遺族、ご親族以外の方が読む場合が多くあります。以下のような、故人様と深い縁のあった方にお願いするとよいでしょう。勤務先など、故人様が属していた組織の中から選ぶ場合は、立場よりも、関係の深い人を優先して依頼します。
・故人様の勤務先の同僚や直属の上司
・故人様がお世話になった恩師と呼べる方
・故人様と特に親しくしていた友人、幼馴染 など
【家族葬の場合】弔辞を読むのは誰?
家族葬の場合、弔辞はご家族・ご親族の方に読んでいただいてもさしつかえありません。
家族葬とは、故人様のご家族やご親族、特に親交の深かった方など、参列者を限定して執り行う葬儀のことです。身近な方々を中心とした小規模な葬儀になりやすいことから、儀礼的な形式にとらわれる必要はありません。そのため、一般葬と比べて自由度の高いお見送りができるのが特徴です。弔辞の場を設けるかどうかも、ご遺族の判断で決めて構いません。
仮に家族葬で弔辞を読む場合には、故人様の兄弟や子、孫など、故人様が喜んでくれそうな方や、故人様のことを最も知る方など、ご遺族内で自由に決めるとよいでしょう。
弔辞を読む人数
弔辞を読む人数に決まりはありませんが、葬儀の規模に合わせて、2~5人ほどの方にお願いするのが一般的です。また、故人様が生前、弔辞を読んでほしい方の希望を伝えていた場合は、できるだけ故人様の意思を尊重しましょう。
複数の人に弔辞を読んでもらいたい場合は、「故人様の同級生からひとり、勤務先からひとり……」と、関係性が偏らないように依頼すると、弔辞の内容が重複する心配もありません。
なお、家族葬においては、あまり形式的な人数にこだわる必要はないため、読んでほしいと思う人にお願いしましょう。
3.弔辞の依頼方法
弔辞は、いつ、どのようにお願いするのがよいのでしょうか。
こちらでは、弔辞の依頼方法をご紹介します。
弔辞はいつ・どうやって依頼する?
弔辞を誰に読んでほしいか決まったら、できる限りすぐに依頼しましょう。弔辞を依頼された側は、話の内容を考えたり、弔辞を書き起こしたりする準備が必要となるため、できるだけ早い段階で連絡をするのが理想です。
弔辞の依頼は、電話やメール、LINEなど、確実に連絡のとれる手段を選びます。
具体的な弔事の頼み方
弔辞を依頼する際は、まず、訃報があったことを伝えます。それから、弔辞を読んでほしいこと、弔辞を読んでもらうタイミング、弔辞の目安となる長さを伝えます。弔辞を複数人にお願いする場合は、他に誰に声をかけたかを話しておくと、依頼された側も弔辞の内容が重複しないように配慮しやすくなるでしょう。
以下に、電話で弔辞を依頼する際の文例を載せますので、参考になさってください。
お世話になっております。〇〇(故人様)の妻、●●です。
すでにお耳に届いていることと思いますが、主人が亡くなったため、□月□日に葬儀告別式を執り行う予定です。
その際、主人と特に親しくしていただいていた(依頼相手)様に弔辞をお願いしたいのですが、お引き受けいただけないでしょうか?
弔辞は、おひとり様あたり3分を目安に、葬儀が始まって半ば過ぎ、焼香の前を予定しております。また、今回は(依頼相手)様の他にも、主人の会社関係の方と、学生時代のご友人の方にお声がけさせていただいております。
お忙しい中大変恐縮ではございますが、どうぞご検討のほど、よろしくお願い申し上げます。
4.弔辞を読んでくださった方へのお礼・マナー
弔辞を読んでくださった方へは、ご遺族からお礼をするのがマナーです。
いつ、何をお礼したらよいのか、どのようにお礼を伝えるかについて、詳しくご説明します。
葬儀当日にお礼をお渡しすることが多い
弔辞を読んでくださった方へのお礼は、なるべく早く行います。現在では、葬儀の当日にお礼をお渡しすることが多くなっています。
後日お渡しする場合は、直接持参してもよいですが、弔辞を読んだ方が遠方にいる場合や、都合により直接持参できない場合は、後日郵送しても差し支えありません。
現金・商品券は渡さない
弔辞のお礼は2,000~3,000円ほどがよいでしょう。ただし、現金や商品券の形でお渡しするのはNGです。
依頼という形であったとしても、「弔辞を読む」というのは故人様への厚意や愛情といった気持ちの表れです。それに対して現金、または現金に等しいものを渡されるのは失礼だと考える人は多くいます。お礼の品には、日持ちのする菓子折りなど、相手の負担にならない品物を選びましょう。
なお、遠方から来ていただいた方には、お車代を現金でお渡しすることはあります。お車代は「弔辞を読んでくれたことへのお礼」ではなく、「遠方から参列してくれたことのお礼」ですから、お渡ししても問題はないでしょう。
お礼状の文例
弔辞のお礼の品には、必ずしもお礼状を添える必要はありません。特に、普段から親しい関係にある方やご親族に対しては、お礼を直接口頭で伝えることも多くあります。
お礼状を添える場合は、基本的なマナーである以下のルールを守ります。
ルール | 説明 |
---|---|
句読点はつけない |
通常の挨拶状の儀礼にのっとり、句読点は省く
|
忌み言葉、重ね言葉を避ける |
忌み言葉:「死ぬ」「去る」など、不幸を連想させる言葉
重ね言葉:「次々」「もう一度」など、不幸が重なることを連想させる言葉 |
時候の挨拶を使わない |
挨拶状などでよく用いられる、季節の移り変わりを表現する文章は使わない
|
頭語と結語を使う |
「背景~敬具」などの頭語・結語を、文章の始めと終わりにつける
|
構成としては、以下のような要素を書くとよいでしょう。
1. 弔辞をいただいたお礼
2. 生前のお付き合いに感謝する気持ち
3. 今後のお付き合いを願う一文
以下に、弔辞のお礼状の文例をご紹介しますので、参考になさってください。
謹啓
このたびは 亡き父の葬儀に際し ご参列ならびに弔辞を賜りましたこと
厚く御礼申し上げます
学生時代からの親友だったと話す〇〇様にご弔辞いただき 父も喜んでいることと思います
亡き父に代わり 生前のご厚情に感謝申し上げますとともに 今後も変わらぬお付き合いを賜りますようお願い申し上げます
本来ならば直接御礼申し上げるべきところではありますが 略儀ながら書中にて失礼いたします
謹白
20●●年 ●月
(差出人住所)
差出人名
5.ご遺族から弔辞を依頼されたら?
もし弔辞を依頼されたら、原則として引き受けるのがマナーです。「この人にぜひ」と、ご遺族が考えた末の依頼ですから、その気持ちになるべく応えましょう。
まれに、「弔辞を依頼されたものの、実は故人様とはあまり深いお付き合いになかった」というケースもあります。そのような場合は、無理に故人様への言葉をつむぐと、かえって失礼にあたることもありますので、そうした事情を伝え、お断りしてもかまいません。
なお、弔辞を他の人に代読してもらうことは好ましくありません。自分がどうしても葬儀に参列できない場合は、弔辞を辞退しましょう。
6.ご遺族に自ら弔辞を読むことを申し出てもよい?
親しくしている人が亡くなった時、お別れの言葉を弔辞という形で贈りたい方もいるでしょう。しかし、「弔辞はご遺族に依頼されるもの」というイメージが強いため、自分から名乗り出ることはマナー違反ではないかと心配になるものです。弔辞に立候補することは可能なのでしょうか?
結論として、自分から弔辞を立候補することはまったく問題ありません。しかし、ご遺族がすでに他の方に弔辞を依頼していたり、弔辞のない葬儀を検討していたりした場合は無理強いせず、ご遺族の意思を尊重しましょう。
また、葬儀の前日や当日になって伝えるのでは、ご遺族を困らせてしまいます。弔辞を読む意思がある場合は、訃報を受け取り次第すぐに申し出るとよいでしょう。
7.弔辞は親しいお付き合いのあった人に依頼し、お礼を忘れずに
弔辞を誰に読んでもらうかの決定、依頼は、喪主様やご遺族が行います。
弔辞は故人様が亡くなったことの悲しみや悼む気持ち、故人様との思い出などを語ってもらうお別れの言葉であるため、故人様と特に親しくしていただいた方へお願いしましょう。また、葬儀後は、弔辞を引き受けてくださった方へのお礼も大切です。
ご逝去から葬儀までの時間は短く、喪主様は弔辞以外にもさまざまなことを決めなければなりません。あらかじめ相談できる相手や、先に決めてもよい事柄に取り組んでおけば、もしもの時にも冷静に対応できます。
花葬儀では、無料で受けられる事前相談をご利用いただけます。葬儀に関する疑問やお悩み事がある場合は、いつでも、何度でも弊社にご相談ください。