喪服のワンピースを選ぶときのポイント~葬儀、法要などシーン別の違いや入学式に着る場合について解説
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- 【 葬儀・葬式のマナー 】
新たに喪服を購入する際には、多く方が「どれを選べばよいのだろう」と迷うものです。喪服にはさまざまな種類があるため、悩むのも無理のないことでしょう。
今回は、喪服の中でもワンピースにスポットをあて、詳しく解説していきます。喪服を選ぶときに気を付けたいことや、葬儀や法要での着用など、場面に応じた喪服の選び方しについてもご紹介します。喪服を入学式などで着用する場合のポイントについても解説しておりますので、喪服選びに悩まれている方は、ぜひ、この記事を参考にしてください。
1.喪服に「ワンピース」を選ぶメリット
喪服を選ぶ際、様々な選択肢がある中で、ワンピースには特筆すべきメリットがあります。ここでは、喪服としてワンピースを選ぶメリットをご紹介します。
体形の変化によらず着やすい
喪服は、着る機会が限られており、長期にわたって着ることが一般的です。そのため「体形が変わってしまい、着られなくなったらどうしよう」と心配する方もいらっしゃるでしょう。
しかし、ワンピースの喪服を選ぶことで、そうした心配を大幅に軽減できます。ワンピースは、体のラインに沿ってゆったりとしたフォルムであるものが多く、デザインも流行に左右されにくいため、長い間着用することができます。
リラックスして着られる
ワンピースはトップスとスカートが一体となったデザインのため、体を締め付ける部分が少なく、長時間の葬儀でもリラックスして着られます。また通気性が良く、汗をかいても蒸れにくい特徴があります。特に暑い夏場の葬儀や法要においては、この快適さが大きな利点となるでしょう。
フォーマル感がある
ワンピースは、シンプルでありながらも上品な印象を与えてくれるため、故人様への敬意を表す服装として適しています。
欧米では、女性のもっとも格式高い正装としてアフタヌーンドレスやイブニングドレスが定着しています。これらの多くはワンピースタイプであることから、ワンピースには「格調が高く、フォーマルな装い」という印象が根付いていると考えられます。
このような文化的背景も相まって、ワンピースタイプの喪服は「フォーマルな場にも自信を持って臨める服」として広く受け入れられているのです。
妊婦や授乳中の方、ご高齢の方でも着やすい
ワンピースタイプの喪服は、さまざまな状況にある方が着用しやすいデザインだといえます。
妊婦の方には、お腹を締め付けないデザインが特におすすめです。サイズに余裕があるタイプのものを選べば、着心地がよく、体形も自然にカバーできます。マタニティ用の喪服ワンピースを選ぶのも、選択肢のひとつとなるでしょう。
授乳中の方には、前開きのワンピースが便利です。授乳が必要なときにも、スムーズに対応できるため、安心して着用できます。
ご高齢の方や体が不自由な方にとっても、魅力的です。着脱が簡単で動きやすいため、長時間の着用でも負担が少なく、快適に過ごせます。
このようにワンピースタイプの喪服は、様々な状況にある方をやさしくサポートしてくれる服だといえるでしょう。
2.喪服(ワンピース)選びで知っておきたい「格式」
次項から、喪服のワンピース選びで知っておきたい3つの格式についてご説明します。
喪服には「正喪服」「準喪服」「略喪服」の3つの格式があり、故人様との関係などによってどれを着るのかが変わってきます。
正喪服
正喪服は、喪服の中でももっとも格式が高いものです。葬儀においては喪主様や、故人様からみて3親等以内のご親族が着用するとされています。
女性の正喪服は、以下のような服装が一般的です。
和装 | ・黒無地の着物 ・背中と両軸、両胸の5箇所に家紋が入った五つ紋付き |
衣装 | ・黒無地のワンピースやアンサンブル ・露出と装飾を抑え、上質な素材を使用 |
ただし最近では、3親等以内のご親族でも正喪服ではなく、洋装の準喪服を着用する方が増えています。
準喪服
準喪服は、正喪服に格調が高い喪服です。通常「喪服」という場合はこの準喪服を指すことが多く、着る機会がもっとも多い喪服といえるでしょう。
女性の準喪服には、ワンピースやスーツ、アンサンブルなどの形態があります。準喪服は、正喪服ほど生地が高級ではないとされますが、近年では皇室関連の儀式を除いては、正喪服と準喪服の違いが曖昧になりつつあります。
略喪服
略喪服は、正喪服、準喪服に次ぐ喪服の形式です。「平服」とも呼ばれ、通夜や三回忌以降の法事など、比較的格式が緩やかな場面で着用されることが多い喪服です。
色は黒が基本ですが、濃紺やダークグレーなどの地味な色も許容されます。無地が望ましいですが、目立たない色の織り柄などの控えめな柄物も場合によっては可能です。
3.弔事で着る「喪服」の特徴、他の礼服との違い
「喪服」について調べると、結婚式や入学式などで着る服と似ているように感じる方もいらっしゃるでしょう。
冠婚葬祭の儀式などで着用するフォーマルな服全般を「礼服」と呼びますが、その中でも弔事の際に着るものを喪服と呼びます。つまり、喪服は礼服の一種なのです。ここでは、喪服の特徴とその他の礼服との違いを解説します。
喪服の色は漆黒
喪服の大きな特徴は、その色にあります。喪服は、略喪服でない限り、非常に深い黒(漆黒)が一般的で、黒の色合いが深ければ深いほどフォーマル度が高いとされています。
ビジネススーツの黒は若干グレーがかっていることが多いため、喪服と並べてみると一目瞭然ですから、喪服の代わりにするのは避けましょう。ボタンも黒とし、着用の際にはストッキングやバッグ、靴の色も黒で統一します。
光沢がない
悲しみを表現するために、光沢を抑えた生地が使用されていることも、喪服の大きな特徴です。同じ礼服でも、お祝い事で着るブラックフォーマルは光沢のある生地を使用しており、華やかさがあります。結婚式などのお祝い事には適していますが、弔事ではマナー違反となりますので注意が必要です。
シンプルで柄、装飾がない
喪服は故人様への弔意を示す場で着用するものであるため、シンプルなデザインであることが基本です。
選ぶ際は、柄のない無地の生地で、装飾ができるだけないものを選びます。また、個性的なシルエットのものも避けるようにしましょう。派手な服装は、故人様をしのぶのにはふさわしくなく、ご遺族や他の参列者の気持ちを不快にしてしまう可能性もあります。
露出が少ない
喪服を着用する際は肌の露出を最小限に抑え、厳粛な場にふさわしい装いを整えましょう。袖丈は、ノースリーブは避け、長袖や七分袖を選びます。襟元が開きすぎたものや、透け感のある生地も控えます。スカート丈は座っても膝が隠れる長さとすることで、正座をする場面でも品位を保つことができるでしょう。
4.喪服のワンピースを選ぶときのポイント・選び方
ここからは、喪服のワンピースを選ぶときに押さえておきたいポイントについて解説します。
ジャケット付きのものがおすすめ
葬儀では、男女共に季節に関係なく、ご遺族・参列者は喪服のジャケットを着用するのが通常です。喪服は喪に服するための礼服ですから、ジャケットを省略することは非礼だと思われたり、場違いな印象を与えてしまったりするかもしれません。
女性の場合、略喪服ではジャケットが必須ではないことがあります。しかしジャケットがあれば、冬場の防寒や夏場の冷房対策にもなるため、一着は用意しておくことをおすすめします。
葬儀におけるジャケットの扱いについては「喪服のジャケットを着用しなくてよい場合」で詳細に解説しておりますので、こちらもご一読ください。
体形に合ったものを選ぶ
喪服は長時間着用することが多いため、快適さは大切です。体型に合った喪服を選ぶことで、見た目に美しいだけでなく、着心地も良く、動きやすくなります。
サイズにゆとりのあるワンピースは体形が変わっても着やすい反面、大きすぎるとだらしない印象になってしまいます。フォーマルさが求められることを考慮し、できるだけ体形に合ったものを着用しましょう。
年齢も考慮に入れる
喪服のワンピースを着る方の年齢によって、似合うデザインや適切とされるスタイルは若干異なります。
膝丈が短かいもの、薄手の生地は、年齢を重ねると厳粛な場にそぐわなくなる可能性があります。以下のようなワンピースを選ぶと、年齢を重ねても着用しやすいでしょう。
・適度な丈の長さ
・生地が薄すぎずしっかりとしている
・体のラインが出にくいデザイン
・ストレッチ素材
喪服は一度購入すると長く使うことが多いため、将来的な着用シーンも考慮して選ぶことをおすすめします。
着用するシーズンも加味する
喪服のワンピースは、夏用、冬用、そしてオールシーズン対応のものが販売されており、それぞれに特徴があります。
夏用の喪服は通気性の良い薄手の生地で作られており、暑い季節でも快適に過ごせます。一方、冬用の喪服は厚手で保温性が高く、寒い季節に適しています。
オールシーズン対応の喪服も多く売られていますが、女性の体は暑さや寒さに対してデリケートになりがちなので、夏用と冬用の喪服をそれぞれ1着ずつ持っておき、使い分けると便利でしょう。
5.シーン別・喪服(ワンピース)の違いを解説
葬儀や法要には、いくつかの種類、スタイルがあります。ここでは、シーンによって喪服のワンピースにどのような違いがあるのかや、弔事以外に喪服を礼服として着る場合の注意点について解説します。
家族葬の場合・一般葬の場合の違い
家族葬と一般葬の場合で、喪服に大きな違いはありません。喪服を着用する場合のマナーは、基本的に同じです。
ただし、一般葬は家族葬よりも多くの方が参列する傾向があるため、葬儀の規模や参列者の顔ぶれによっては、よりフォーマル感が求められることがあります。
なお最近では、家族葬、一般葬を問わず、ご遺族が葬儀の服に略喪服を選ぶことが珍しくなくなっています。葬儀の場合であっても、案内状に「平服でお越しください」と書かれているときは、指示にしたがいましょう。
葬儀と法要で着る喪服の違い
基本的に葬儀では喪服を着ますが、法要では時間がたつにつれて服装は簡略化されます。
法要を行う側も参列する側も、三回忌までは喪服を着ますが、七回忌以降は略喪服でよいとされています。不安な場合は、事前に施主様に服装を確認するとよいでしょう。
同じ喪服を入学式などで着る場合は?
祝い事や弔い事の両方に着られるシンプルなデザインのワンピースも、ブラックフォーマルとして販売されています。入学式などに着る服も兼ねたブラックフォーマルのワンピースを選ぶ場合には、次の点に注意してみましょう。
喪服としてふさわしいかどうか要注意
「喪服の特徴」で述べたように、喪服は生地に光沢がなく、デザインはシンプルであることが前提です。弔事・慶事を兼用する礼服を購入する際は、生地やデザインをあらためて確認し、喪服としてふさわしいかどうかチェックしましょう。
喪服として販売されているワンピースであっても、きらびやかに見えるものや、透け感があるものは厳粛な場にふさわしくありません。
アクセサリーでイメージチェンジ
アクセサリーを身につけることで、ブラックフォーマルのイメージをがらりと変えることができます。たとえば、白や淡いパステルカラーなど明るい色合いのコサージュやブローチをつけることで、ブラックフォーマルに華やかさが加わり、雰囲気を変えることも可能です。
また、黒い服に金や銀のアクセサリーを合わせると、品格が増します。金や銀の装飾のついたパンプス、バックも着こなしのひとつとしておすすめです。
6.喪服のワンピースに関するよくあるQ&A
葬儀や三回忌までの法要においては、ジャケットを羽織ることで、より礼儀正しい印象を与えることができます。ジャケットは、故人様への敬意を表す方法のひとつでもあるのです。
ただし、状況によっては柔軟な対応も可能です。たとえば小規模な家族葬などの場合は、女性はジャケット無しでも許容される場合があります。しかし、服装に対して厳格な考えを持つ方が参列することもあるため、ケースバイケースで慎重に判断するようにしましょう。
喪服と同じ黒い生地で、ほとんど目立たないリボンやフリルは、華美でなければ許容される傾向にあります。多くの喪服に使われているレースやフリルは、目立たないよう控えめにデザインされているためです。
ただし、明らかに光沢のあるもの、大きいものは、悲しみに暮れるご遺族の気持ちに寄り添うものではなく、不適切とされる可能性があります。
コサージュは、欧米の映画などでは葬儀でつけているのを見かけることがありますが、日本の弔事ではあまり一般的ではありません。比較的形式張らないお別れの会などでは許容されることもありますが、ご遺族が違和感を覚える可能性もあるため、通常の葬儀では避けたほうが無難です。
レースの使用範囲やデザインによって、喪服の印象は大きく変わります。レースが使われている場合は、面積が少なく、目立たない色・素材であるかどうかに注意しましょう。肌の透け感があるようなデザインは、弔事には適していません。
7.喪服のワンピースは故人様・ご遺族の気持ちに寄り添って選びましょう
喪服は着る機会は少ないものの、長期間保管して使用することが多いため、慎重に選ぶ必要があります。中でもワンピースは、特に便利なアイテムだといえます。
ワンピースの魅力は、女性らしい優美さとドレッシーな印象がある点です。長時間の着用でもウエスト周りを締め付けないため疲れにくく、着脱がしやすい実用性も兼ね備えています。
ただし、葬儀で着用する際には、基本的には上にジャケットを羽織ります。リボンなどの若干の装飾は許容されることもありますが、故人様への哀悼の意を表し、ご遺族の気持ちに寄り添うことが何よりも大切です。服装に過度にとらわれすぎず、マナーを守りながらご遺族の気持ちに寄り添うことを心がけましょう。
ご葬儀や法要、喪服に関する疑問や不安がございましたら、専門のスタッフに相談するのも良い方法です。花葬儀では、経験豊富なスタッフが24時間356日体制でお客様をサポートしております。どうぞお気軽に、花葬儀の事前相談をご利用ください。