終活の新常識 葬儀費用の負担をサポートする「葬儀保険」
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- 【 終活の基礎知識 】
近年、ご自身が亡くなったときの準備、いわゆる「終活」をする方が増えています。よく耳にするのは、
- ・エンディングノートの作成
- ・身辺整理
- ・ご自身の葬儀の準備
- ・ご自身のお墓の準備
などで、とくに葬儀やお墓の準備は、終活のなかでもとくに重要といわれているものです。
今回は、その終活に関係の深い「葬儀保険」をご紹介します。
葬儀保険ってなに?
葬儀保険とはその名の通り、もしものご葬儀の際に費用を担保するための保険です。突然の不幸に見舞われたとき、これに加入していれば、葬儀を執り行うときにも残されたご家族の負担を最小限に抑えることができます。
葬儀にかかる費用の平均は、195万7000円といわれています(一般財団法人日本消費者協会 「葬儀についてのアンケート調査」2017年 より)。葬儀には、葬儀一式費用のほかに、お通夜からの飲食接待費や寺院へのお布施などが必要です。預貯金や死亡保険金、葬儀時の香典などで葬儀費用が準備でればよいのですが、突然のご不幸に見舞われた、または十分な備えがないなどの場合には、ご遺族の葬儀費用の負担は重くなります。「葬儀保険」に入る方が多いのは、このような万が一の事態を考えてのことといえるでしょう。
葬儀一式費用 | お通夜からの 飲食接待費 | 寺院へのお布施 | 葬儀費用合計 |
---|---|---|---|
祭壇、棺 その他宗教用具一式など | 通夜ぶるまい、精進落とし、親族などの飲食代 | 読経、戒名など | 195.7万円 |
121.4万円 | 30.6万円 | 47.3万円 |
葬儀一式費用 | お通夜からの飲食接待費 | 寺院へのお布施 | 葬儀費用合計 |
---|---|---|---|
祭壇、棺 その他宗教用具一式など | 通夜ぶるまい、精進落とし、親族などの飲食代 | 読経、戒名など | 195.7万円 |
121.4万円 | 30.6万円 | 47.3万円 |
(一般財団法人日本消費者協会 「葬儀についてのアンケート調査」2017年 より)
葬儀保険への加入は必要?メリットと誰のために入るのかを考える
この「葬儀保険」は、ご自身の将来への不安軽減のためというよりも、残されたご遺族の負担を減らすために加入される方が多いのが特徴です。親が元気なうちに子どもと相談して加入を決めたというケースもあります。
保険金でカバーできるのは、
- ・葬儀費用
- ・遺品の整理
- ・仏壇、お墓の購入費用
- ・法要にかかる費用
などで、残されたご遺族の金銭的負担を軽減できる部分はひととおり含まれています。
また、80歳以上のご高齢の方でも医師の診断書なしで加入することができるという特徴があります。そのため、これまでにかけていた保険が満期になってしまった方、年齢で保険を諦めていた方でもお申し込みできます。保険料も自分の状況に応じて設定額を決められるところが多く、掛け金を少なめにすることも可能です。
葬儀保険の特徴 一般の保険や、互助会との違いは?葬儀保険以外の選択肢はあるの?
葬儀保険は、一般の生命保険とは大きく違う点が2つあります。それぞれ具体的に見ていきましょう。
■加入のしやすさ
加入に年齢制限や年齢更新の上限がある一般の生命保険に比べ、葬儀保険は高齢者の方でも入りやすく、99歳まで更新できる保険もあります。
また、先ほどもお話ししたとおり、加入の際、医師の診断書は基本的に不要です。健康状態や過去の病歴などの告知が不要のところもあり、年齢や健康状態で保険加入を諦めていた方も検討することが可能です。
■保険料が割安なことが多い
葬儀保険は葬儀費用のための保険なので、解約払い戻しが発生しにくく、その分保険料を低く設定しているところが多いようです。
つづいて、葬儀保険と似たシステムを少しご紹介しましょう。
◎互助会
毎月数千円程度を60回や120回など、固定額を設定した回数積み立てることで冠婚葬祭に備えるシステムがあります。
互助会のメリットは、「期間満了後、互助会が用意する式場や設備、衣装などを会員価格で使用できること」、デメリットは「葬儀場が自由に選べない、積立金以上の額は別途支払いが必要など、利用に制限があること」です。
◎相続信託
ご自身が亡くなったとき、保険会社に信託した金額をすぐ葬儀費用に充てられるシステムのことです。
◎遺言代用信託
生前に信託銀行などに財産を信託して、葬儀などに充てるお金をあらかじめ決めておくシステムです。
亡くなった方の銀行口座はすぐに凍結されてしまい、相続者であってもすぐにお金を引き出すことができません。相続信託、遺言代用信託などは、費用の元本をあらかじめ信託銀行などに預けることで口座凍結の心配をなくし、そのお金を葬儀費用などに充てられるものです。
葬儀保険のデメリット、注意点
もちろん、葬儀保険にもデメリットはあります。
具体例を挙げると、以下の4点です。
- ・ご自身の老後の生活資金には使えない
- ・加入時の年齢が高いほど毎月の保険料が高くなる
- ・保険料の支払いに条件が設けられていることがある
- ・保険会社の経営が行き詰まると保険金が支払われなくなることがある
基本的に自分が亡くなった後に保険金を受け取るシステムなので、生活資金に使えないところは仕方のないことでしょう。保険料の支払額と葬儀費用のバランスをしっかりと考え、契約日からの保険金の支払い開始日など、諸条件を約款で事前に確認すると安心です。
また、契約する保険会社がそもそも信頼できる企業なのか、慎重に検討、判断する必要があります。
実際に葬儀保険に加入するまでの流れ、必要となる書類などは?
基本的に、一般的に葬儀保険に加入するための申し込み方法は、以下の2点です。
- ・保険会社に連絡して申込書を取り寄せる
- ・インターネットでの申し込み
手続きで求められる内容、一般的には以下の3つです。
- ・個人情報
- ・加入を希望する保険プラン
- ・現在の健康状態や過去の病歴の告知
申し込み完了後、保険会社の審査に通れば、保険証書が届きます。繰り返すように、医師の診察や証明書などは不要ですが、「現在の健康状態や過去の病歴」は保険会社に知らせておきましょう。記載内容に誤りのあった申し込みで審査を通過すると、保険金を請求することになった際、それを理由に保険金が受け取れなくなるおそれがあります。
保険会社によってこれだけ違う!葬儀保険を選ぶ決め手
葬儀保険の内容は、提供する会社によって異なります。ご自身のニーズに合った葬儀保険を選ぶとき、加入時に気をつけたいポイントをまとめました。
葬儀保険を取り扱う主な保険会社のサービス・加入条件例
おもな保険会社の葬儀保険についてご紹介します。保険金額や保険料の払い込み期間、保障の内容など、会社によってこれだけ違いがあります。
保険会社 | ベル少額短期保険株式会社 | オリックス生命 | |
---|---|---|---|
葬儀保険の名称 | 千の風 | 終身保険ライズ | 死亡保障付医療保険リリーフ・ダブル |
公式サイト | http://www.bell-shotan.co.jp/index.html | https://www.orixlife.co.jp/life/rise/ | https://www.orixlife.co.jp/products/relief_w/ |
保険タイプ | 少額短期保険※(死亡保障) | 貯蓄型終身保険(死亡保障) | 貯蓄型終身保険(医療保険+死亡保障) |
加入可能年齢(更新可能年齢) | 加入可能年齢(更新可能年齢)85歳10ヵ月まで(更新は100歳まで) | 75歳まで(死亡保障は一生涯継続) | 80歳まで(死亡保障は一生涯継続) |
加入時の医師の診断書 | 不要(告知のみ) | 不要(年齢・保険金額によっては必要な場合もあり) | 不要(告知のみ) |
保険会社 | ベル少額短期保険株式会社 | オリックス生命 | |
---|---|---|---|
葬儀保険の名称 | 千の風 | 終身保険ライズ | 死亡保障付医療保険リリーフ・ダブル |
公式サイト | http://www.bell-shotan.co.jp/index.html | https://www.orixlife.co.jp/life/rise/ | https://www.orixlife.co.jp/products/relief_w/ |
保険タイプ | 少額短期保険※(死亡保障) | 貯蓄型終身保険(死亡保障) | 貯蓄型終身保険(医療保険+死亡保障) |
加入可能年齢(更新可能年齢) | 加入可能年齢(更新可能年齢)85歳10ヵ月まで(更新は100歳まで) | 75歳まで(死亡保障は一生涯継続) | 80歳まで(死亡保障は一生涯継続) |
加入時の医師の診断書 | 不要(告知のみ) | 不要(年齢・保険金額によっては必要な場合もあり) | 不要(告知のみ) |
※少額短期保険とは……保険金額が少額(1,000万円以下)で、保険期間が短い(1~2年)保険商品
葬儀保険に入らなくてもよいケースとは?
葬儀保険は、ご自身が亡くなった後、家族に金額的な負担をなるべくかけないことをと大きな目的とした保険です。そのため、十分な葬儀費用やお墓の代金をすでに備えている場合は、新たに加入する必要はありません。
当然ながら、葬儀の「どの部分」にお金をかけるかは、その人の考え方によって違います。しかし、その考えを身近な人に伝えられなければ、お金をかけてほしい部分を間違えられてしまうことも考えられます。必要に応じて遺言やエンディングノートなどを活用し、ご遺族に使い道の希望を伝えられるような工夫があるとよいでしょう。
また、今は「人生100歳時代」と言われる時代です。100歳を超えて元気で長生きされている方も、いまや珍しくなくなりました。「保証がいつまで続くか不安」という方は、保証が一生涯続くタイプの葬儀保険を選ぶと安心です。
保険料は安い方がいい?後悔しない葬儀保険選び
それでも、保険料を不安に感じる方はいらっしゃるでしょう。もちろん、月々の保険料が安いプランを選ぶこともひとつの選択肢です。
しかし、それと同時に、葬儀社との事前相談を受け(できれば複数社)ておくことを、葬儀社のスタッフとしてはおすすめします。事前相談を受ければ、ご自身の葬儀の予算感が見え、生前に積み立てるべき金額もハッキリしてきます。それが、ご自身にとって正しい保険プランを選びやすくなることにつながるのです。保険料の不安とは無関係に見えますが、ご葬儀費用の目安(積み立てる金額)がわかり、正しい保険選びにつながるという点で、葬儀社の事前相談は大いに役に立つことでしょう。
なお、葬儀社を金額だけで選ぶと、ご自身の葬儀でお願いしたいことが叶えられないなど、せっかく積み立てたお金が無駄になってしまうかもしれません。価格の安さは魅力のひとつですが、それだけではなく、
- ・ご自身の要望を叶えてくれそうか
- ・相談した担当者が信用できそうか
などの点もしっかり見て、納得できる葬儀社を選びましょう。
まとめ
ご葬儀には、どうしてもお金がかかります。だからこそ、あらかじめ葬儀保険を比較検討することは、ご遺族への負担を軽くすることにつながります。
葬儀保険は高齢者でも比較的簡単に加入することができるので、ご自身の経済状況やご希望、契約内容を確認しながら検討しましょう。そして、ご自身が希望する葬儀の内容を知ることが、積み立てる金額を知る手がかりにもなります。
弊社「花葬儀」でも、このようなお声に寄り添えますよう、事前相談をお受けしております。みなさまのご希望、ご家族の負担へのご心配など、どんなことでもお聞かせください。