遺産分割協議書の作成に必要な書類は?期限や注意点もあわせて解説
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- 【 相続手続き 】
花葬儀が送る「相続」に関するコラム、今回のテーマは「遺産分割協議書の作成に必要な書類」です。遺産分割協議で重要なのは、話し合いだけではありません。合意した内容を書面で残すことで、不要な争いを避けたり、相続の手続きを円滑に進めたりすることができます。
このコラムでは、遺産分割協議書を作るにあたって必要となる書類や、遺産分割協議書を使う手続き、書類の期限についてご紹介します。相続に関する事柄は専門用語が多く難しいと感じてしまいますが、このコラムではわかりやすさを最優先しておりますので、どうぞ最後までお読みください。
1.遺産分割協議書とは何か?
そもそも「遺産分割協議書」とは、具体的にどのような書面を指すのでしょうか?
役割やメリットをこちらで詳しくご紹介します。
遺産分割協議書とは
「遺産」とは、亡くなった人の保有していた財産を指します。遺言書がある場合は、基本的に「遺言書に記載されていた人物」に「遺言書に記された内容に従って」相続されます。
もしも、亡くなった人が遺言書を残していない場合、「誰が」「何を」「どのくらい」相続するのかを決めなくてはなりません。相続の権利を持つ人(亡くなった人の配偶者や子ども、両親、兄弟姉妹などの血縁関係にあたるご親族)たちが、以下のいずれかの方法で遺産を分け合います。
1.「法定相続分(※1)」に従って分ける
2.自分たちで相続の割合を話し合って決定する
2.の自分たちで話し合って決めることを「遺産分割協議」といい、遺産分割協議で決まった内容を記したものが「遺産分割協議書」です。
(※1)民法によって定められている、誰が何を相続するかの目安となる割合。例えば配偶者と子2人の計3人が相続するなら、「配偶者2分の1、子4分の1、子4分の1」が目安。
出典:登記申請手続きのご案内(相続登記①/遺産分割協議編)法務省民事局7ページ
URL :https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001388912.pdf
参照元:法務局 不動産を相続した方へ ~相続登記・遺産分割を進めましょう~
URL :https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00435.html
(閲覧日2024/7/19)
遺産分割協議書の役割・メリット
遺産分割協議書を作る大きな目的は「トラブルの防止」と「相続手続き」です。遺産分割協議で決定した内容を証拠として残すことで、「言った・言わない」のトラブルを防ぐことができます。
また、相続によって承継した遺産の名義変更や相続税申告など、各種相続手続きの際にも、遺産分割協議書の提出が求められます。遺産分割協議書は、相続に関わるさまざまな場面で重要な役割を果たすのです。
2.遺産分割協議書を作るために必要な書類
遺産分割協議書を作るための必要書類は、以下の通りです。
被相続人に関する書類 | ・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本類 ・被相続人の住民票除票または戸籍の附票 ・残高証明書、通帳 |
---|---|
相続人に関する書類 | ・相続人全員の印鑑登録証明書、実印 ・相続人全員の戸籍謄本 ・相続放棄者に関わる書類 |
その他 | ・財産目録 ・寄与、特別受益などの証明となる書類 ・遺産の詳細がわかる文書 |
それぞれの書類の詳細や取得方法をご紹介します。
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等
被相続人(ひそうぞくにん)とは、財産をのこして亡くなった人のことを指します。被相続人が亡くなり相続が開始したことを証明するために、以下の書類が必要となります。
書類 | 概要 |
---|---|
戸籍謄本 (こせきとうほん) |
戸籍にある全員の身分事項を証明する |
除籍謄本 (じょせきとうほん) |
死亡・婚姻などにより戸籍から除かれた人がわかる |
改製原戸籍謄本 (かいせいげんこせきとうほん/かいせいはらこせきとうほん) |
様式変更前の古い戸籍謄本の写し |
取得する戸籍謄本の範囲は「被相続人の出生から死亡まで全て」であることに注意しましょう。
戸籍謄本類を通じて相続人を確定する
遺産分割協議には、相続人全員による話し合いと合意が必要であるため、まずは誰が相続人に該当するのかを調べなくてはなりません。戸籍謄本などを取得することによって、相続人を特定することができます。
戸籍謄本類を取得する方法
戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本は、すべて最寄りの市区町村役場にて取得することが可能です。かつては被相続人の本籍地の市区町村役場のみでしか取得できないとされていましたが、2024年3月から全国のどの役場でも取得できるようになりました。郵送や代理人申請による取得を希望する場合は、本籍地の市区町村役場で手続きをしなければなりません。
被相続人の住民票除票、または戸籍の附票
「住民票除票」とは、転居や死亡によって、住民登録が削除されたことを証明するものです。一方、「戸籍の附票(ふひょう)」とは、戸籍に記載されている人の住所履歴を記録したものを指します。
住民票除票または戸籍の附票が必要となる主なケースは、以下の通りです。
・遺産分割協議書に被相続人の最後の住所を記載するとき
・遺産に不動産が含まれており、かつ、登記簿(※2)上の住所と被相続人が死亡したときの住所が異なる場合
書類が取得できる場所は、以下の通りです。
・住民票除票:被相続人の最後の「住所地」にある市区町村役場
・戸籍の附票:被相続人の最後の「本籍地」のある市町村村役場
(※2)不動産の詳細や所有者の情報が記載されたもの。
相続人全員の戸籍謄本
相続人であることに間違いがないことを証明するために、相続人全員の現在の情報が分かる戸籍謄本が必要です。遺産分割協議後の相続手続きでも必要となるため、早めに取得しておきましょう。ただし、被相続人と相続人が同じ戸籍に入っている場合は、新たに用意する必要はありません。
取得できる場所には、以下のような選択肢があります。
・本籍地にある市区町村役所
・最寄りの市区町村役場
・マイナンバーカードを利用できるコンビニのマルチコピー機
本籍地以外の最寄りの役場で戸籍謄本類を入手するには、本人が窓口に行く必要があります。
相続人全員の印鑑登録証明書、実印
遺産分割協議書には、相続人全員が合意した証として相続人全員の署名と実印による押印を行います。実印が本物であることを証明するために、相続人全員分の印鑑登録証明書が必要です。
印鑑登録証明書は、住民登録がある市区町村で取得することができます。印鑑登録をしていない場合は、遺産分割協議前に登録を済ませましょう。
残高証明書、通帳
遺産を分割するためには、被相続人の遺産の範囲や内容を正しく把握しなくてはなりません。また、遺産分割協議書には、相続する預貯金の預け先情報(銀行名、支店名、口座番号、口座残高)も記載しなくてはならないため、被相続人の相続発生時点の「残高証明書」や「通帳」を用意します。
残高証明書は、被相続人が利用していた金融機関で発行してもらうことができます。遺産分割協議のために必要であることを証明できる「被相続人の戸籍謄本または除籍謄本」「残高証明書を受け取る人の身分証明」などが必要です。残高証明書の取得は相続人本人だけでなく、弁護士や遺言執行者(※3)などに依頼して、行ってもらうこともできます。
(※3)遺言書に書かれた内容を実現するために相続手続きを単独で進める権限を持った人。
遺産の詳細がわかる文書
預貯金以外の遺産については、その内容が分かる書類が必要です。
遺産の種類 | 書類 | 取得先 |
---|---|---|
不動産 | 全部事項証明書(登記簿謄本) | 登記所または 法務局 |
自動車 | 自動車検査証 など | 被相続人 |
証券 | 残高証明書、取引明細 | 証券会社 |
保険 | 保険証書 | 被相続人 |
会員権(ゴルフなど) | 会員権証書 | 〃 |
借金 | 借用書 など | 〃 |
財産目録
「財産目録」とは、相続の対象となる全ての財産を一覧にまとめたものです。遺産分割協議書の作成に必須ではありませんが、「どのようなものが」「どれくらいあるのか」をまとめることで、遺産分割協議をスムーズに進めることができるほか、相続税の計算にも役立ちます。
財産目録はどこかから取得するのではなく、通帳やそのほかの遺産の詳細がわかる文書をもとに、相続人が協力して作成します。なお、「財産」には現金や不動産などの「プラスの財産」だけではなく、借金などの「マイナスの財産」も含まれるため、マイナスの財産も財産目録に記載することを忘れないようにしましょう。
寄与分、特別受益があればその証明となる書類
トラブルを避け、遺産を公平に分配するためにも、寄与分や特別受益があれば、その証明となる書類を遺産分割協議の前に用意しておくことをおすすめします。
「寄与分」とは、相続人が被相続人の財産の維持、または増加に特別な貢献をした場合、法定相続分を超える財産を相続することができる制度です。具体例として「被相続人の稼業を無償で手伝っていた」「被相続人の介護のために会社を辞めて長年尽くしていた」などが挙げられます。
「特別受益」とは、相続人の一部が生前の被相続人から受けた贈与を主に指します。生前に受けた贈与全てが対象となるわけではありませんが、「相続人の一人が新築費用の多くを存命中の被相続人からもらっていた」といったケースでは、特別受益とみなされることもあるようです。
寄与分や特別受益は不公平感が生じやすく、相続人同士のトラブルへと発展することも珍しくありません。
相続放棄者に関わる書類(相続放棄したい人がいる場合)
相続人は、相続を知った日から3カ月以内に家庭裁判所に申し立てを行えば、相続を放棄することができます。
被相続人の遺産を相続しない人がいる場合、その事実を証明する「相続放棄申述受理証明書」を用意しましょう。こちらの書類は、相続放棄が受理され、その後に申請することで家庭裁判所から交付されます。
相続放棄申述受理証明書は、遺産分割協議書を作るために必須ではありませんが、不要なトラブルを防ぎ、相続放棄の意思を明確に示すためにも取得しておくことをおすすめします。
3.遺言書があっても遺産分割協議を行う場合の必要書類
「遺言書がない場合に遺産分割協議を行う」と最初のほうで触れましたが、実は遺言書があっても遺産分割協議を行うことがあります。
どのようなケースで行うかについて解説するとともに、その際の必要書類をご紹介します。
遺言書があっても遺産分割協議書は作れる
遺言書があるのに遺産分割協議を行うケースは、主に以下の4パターンです。
1.遺言書に記載されていない遺産が見つかった
例:遺言書にはない現金1,000万円を被相続人が持っていたことが判明した
2.遺言書の相続内容が詳細に書かれていなかった
例:「全財産を相続人全員で等分すること」としか書かれておらず、誰が何を相続するのかが決まっていない
3.相続人全員が「遺言書と異なる内容の遺産分割」に合意した
4.遺言書の形式に不備があり、無効となった
法的に有効な遺言書が残されていても、上記のようなケースでは遺産分割協議ならびに遺産分割協議書の作成が必要です。
遺言書があり遺産分割協議書を作る場合の必要書類
遺言書がある状態で遺産分割協議書を作成する際には、「遺産分割協議書を作るために必須な書類」でご紹介した書類の他、以下が必要となります。
遺言書
どの部分について話し合わなければならないのかを確認するために、遺言書は必須です。なお、遺言書には以下の種類があることをこちらで押さえておきましょう。
種類 | 概要 |
---|---|
公正証書遺言 | ・公証人が作成し、公証役場に原本を保管する ・最も信用性の高い遺言書 |
自筆証書遺言 | ・遺言を残す人が全て自分で書いて自分で保管する ・遺言書は法務局に預けることも可能 |
秘密証書遺言 | ・相続が始まる時まで遺言の内容を秘密にする ・遺言者が署名・押印し、公証人と証人2人に提出することで、存在を証明してもらう |
検認済証明書(遺言書の検認を受けた場合)
公正証書遺言以外の遺言書は、家庭裁判所にて遺言書の存在と内容を相続人に知らせる他、「この遺言書は遺言者が作成した本物であるか」「第三者の手により変造されていないか」を調べる必要があります。これを「検認」といいます。
検認を終えた遺言書には「検認済証明書」が付与されます。この証明書がないと、相続手続きに移ることができません。
4.遺産分割協議書や相続手続きに必要な書類はコピーでも代用できる?
遺産分割協議で作成した遺産分割協議書は、以下のような相続手続きにおいて必要となります。
1.不動産の相続手続き(相続登記)
2.預金の相続手続き
3.自動車の名義変更
4.有価証券の相続手続き
5.相続税申告
例えば、被相続人が預貯金の口座を複数の銀行に持っていた場合、銀行ごとに必要書類(遺産分割協議書とその他の必要書類一式)の提出が求められます。遺産分割協議書は原本の提出が基本で、コピーは認められないことが多くあります。
このような場合、すべての銀行に原本を提出するのは難しいと思われるかもしれませんが、必要書類は基本的には「相続人1人につき1セット」あれば問題ありません。ほとんどの手続き先では、コピーをとった後に原本を返却してくれるからです。
提出をする際には「原本返還申請」を行い、手続き終了後に原本が確実に戻ってくるようにしておきましょう。また、被相続人の戸籍謄本等はコピーでも可能な場合があるため、手続き先にあらかじめ確認しておいてもよいでしょう。
5.「法定相続情報一覧図」を作ると必要書類を代用できることも
原本は戻ってくることがほとんどであるとはいえ、手続き先が多いと、必要書類の提出・回収を繰り返すのは時間と手間がかかります。そのような負担を解消するのに役立つのが「法定相続情報一覧図」です。
法定相続情報一覧図とは、亡くなった人と相続人との関係を一覧化した図のことです。法務局に以下の書類を用意して申請すると法定相続情報一覧図が作成され、「法定相続情報一覧図の写し」をもらうことができます。
・被相続人の出生から死亡までがわかる全ての戸籍謄本(または除籍謄本)
・被相続人の住民票除票
・相続人全員の現在の戸籍謄本(または戸籍抄本)
・申請者の身分証明証
法定相続情報一覧図の写しがあれば、上記の必要書類の提出を省略することが可能です。また、法定相続情報一覧図の写しは無料で何通でも取得できるため、必要な手続き先分を入手することで、原本の返却を待ったり、多くの書類を毎回持っていったりする手間が省けます。
ただし、一部の相続手続きでは法定相続一覧図が使えないケースもあるため、事前の確認が必要です。
6.遺産分割協議書を使う手続き・必要書類と提出先
遺産分割協議書を使う主な相続手続きの内容と、その他必要となる書類、提出先についてご紹介します。
不動産の相続による登記(相続登記)に必要な書類【法務局】
土地や建物などの不動産を相続したら、法務局にて相続登記(不動産の名義変更)を行います。かつて相続登記は義務ではありませんでしたが、現在は相続がわかった日から3年以内に行うことが義務付けられています。従わない場合は罰則の対象となるため注意しましょう。
相続登記に必要な書類は以下の通りです。
書類 | 補足 |
---|---|
遺産分割協議書 | 相続人全員の合意があることの証明 |
被相続人の出生から死亡までの すべての戸籍謄本等 |
法定相続情報一覧図の写しにてまとめることが可能 |
被相続人の住民票除票 (または戸籍の附票) |
|
相続人の現在の戸籍謄本 (または戸籍抄本) |
|
相続人の印鑑登録証明書 | 遺産分割協議書に押印した実印の証明書 |
相続人の住民票 | 相続人の現住所の証明 |
固定資産税評価証明書 (または固定資産税納税通知書) |
不動産の資産価値を証明する書類 |
相続登記申請書 | 相続登記を申請するための書類 |
預金の相続に必要な書類【銀行】
預貯金の相続手続きは、銀行にて以下の書類を提出します。
書類 | 補足 |
---|---|
遺産分割協議書 | 相続人全員の合意があることの証明 |
被相続人の出生から死亡までの すべての戸籍謄本等 |
法定相続情報一覧図の写しにてまとめることが可能 |
被相続人の住民票除票 (または戸籍附票) |
|
相続人の現在の戸籍謄本 (または戸籍抄本) |
|
相続人の印鑑登録証明書 | 遺産分割協議書に押印した実印の証明書 |
被相続人の通帳・キャッシュカード・証書・貸金庫の鍵など | 被相続人の預貯金や貸金庫の内容を確認する |
実印 | 手続きを行う代表者のみ |
印鑑届 | 被相続人の口座の名義を変更する場合に必要 |
相続届 | 相続手続きの依頼書 金融機関ごとに名称が異なる |
相続した預金を受け取る方法は「被相続人の口座から払い戻してもらう」「被相続人の口座の名義を相続人に変更する」の2つがあります。
自動車の名義変更に必要な書類【運輸局】
自動車の名義変更に必要な書類は、自動車の種類や価値(査定額)によって異なります。100万円を超える価値がある普通乗用自動車を名義変更する場合は、以下の書類が必要になります。
書類 | 補足 |
---|---|
遺産分割協議書 | 相続人全員の合意があることの証明 |
被相続人の出生から死亡までの すべての戸籍謄本等 |
法定相続情報一覧図の写しで代用することが可能 |
被相続人の住民票除票 (または戸籍の附票) |
|
自動車検査証(車検証) | 車両の登録情報の証明 |
相続人の車庫証明書 | 自動車の保管場所があることを証明する書類 |
相続人の印鑑登録証明書 | 遺産分割協議書に押印した実印の証明書 |
相続人の実印 | 実印は通常の印鑑よりも法的効力が強いため、重要な手続きで求められる |
自動車税申告書 | 今後新たに自動車税を支払う人が変更になることを申告する書類 |
手数料納付書 | 名義変更手続きの手数料を納付するための書類 |
移転登録申請書 | 名義変更(移転登録)を申請するための書類 |
自動車の名義変更は、相続開始から15日以内に、相続人の住む地域を管轄する運輸局にて行います。手数料(500円)を納付し、必要書類を窓口に提出後、新たに発行された車検証と自動車税申告書を税申告窓口に提出して終了です。管轄地域が変わる場合は、旧ナンバープレートも持参しましょう。
有価証券の相続に必要な書類【証券会社】
有価証券(株式、投資信託、債券など)の相続手続きでは、各証券会社に主に以下の書類を提出します。
書類 | 補足 |
---|---|
遺産分割協議書 | 相続人全員の合意があることの証明 |
被相続人の出生から死亡までの すべての戸籍謄本等 |
法定相続情報一覧図の写しにてまとめることが可能 |
被相続人の住民票除票 (または戸籍の附票) |
|
相続人の現在の戸籍謄本 (または戸籍抄本) |
|
相続人の印鑑登録証明書 | 遺産分割協議書に押印した実印の証明書 |
株主名義書換申請書 | 株主名簿に記載されている株主の情報を変更するために必要な書類 |
相続税申告に必要な書類【税務署】
相続したものには税金が課されるため、忘れずに相続税の申告を行わなくてはなりません。税務署に提出する必要書類は以下を参考になさってください。
書類 | 補足 |
---|---|
遺産分割協議書 | 相続人全員の合意があることの証明 |
被相続人の出生から死亡までの すべての戸籍謄本等 |
法定相続情報一覧図の写しにてまとめることが可能 |
被相続人の住民票除票 (または戸籍の附票) |
|
相続人の現在の戸籍謄本 (または戸籍抄本) |
|
相続人の印鑑登録証明書 | 遺産分割協議書に押印した実印の証明書 |
相続人の住民票 | 相続人の現住所の証明 |
相続人全員のマイナンバーカード | 通知カードでも可能 |
相続人全員の身分証明 | マイナンバーカードや運転免許証など |
その他 | ・不動産、株式などの該当資産がある場合など、該当する場合にのみ必要な書類もある ・債務や贈与、葬儀費用を相続財産から控除する場合などには、関連書類も必要 |
相続税申告書 | 相続税の申告に使う |
相続するものが多いほど手続きが増え、負担を感じるかもしれません。しかし、相続手続きを怠ると正しく相続できなかったり、罰則の対象となったりしますので、必ず行うようにしましょう。負担やミスを減らすために、税理士や司法書士などの専門家に依頼をするのもひとつの方法です。
必要書類やそれぞれの手続きの流れについては「死亡後の名義変更の方法」でもご紹介しておりますので、あわせてご覧ください。
7.遺産分割協議書や必要書類の有効期限
遺産分割協議書や、相続手続きで必要となる書類には、有効期限があるのでしょうか?期限切れの書類で手続きを行おうとすると、いざ手続きをするときに取り直しが必要となってしまいます。スムーズに手続きを進めるためにも、期限について押さえておきましょう。
遺産分割協議書を作成する期限は?
遺産分割協議書には「いつまでに作成しなければならない」といった決まりはありません。
ただし、自動車の相続手続きは「所有者が変更されてから15日以内」、相続税の申告は「被相続人が死亡してから10カ月以内」などそれぞれに期限があるため、遺産分割協議が終わったらなるべく早く遺産分割協議書を作成する必要があります。
遺産分割協議書の有効期限
遺産分割協議書に有効期限はありません。作成から何年経ったものでも、相続手続きに使用することが可能です。
その他の必要書類の有効期限
遺産分割協議書以外の必要書類のうち、原戸籍謄本(平成6年以前の書式の戸籍謄本)や除籍謄本は変更の可能性がないため、有効期限がありません。
一方、現在の戸籍謄本や印鑑証明書などは、提出先ごとに「発行から3カ月以内」「発行から6カ月以内」などの有効期限が定められています。既に書類を持っている場合は有効期限の確認を行い、これから取得する場合は、取得後なるべく早めに相続手続きを行うことをおすすめします。
8.遺産分割協議書の作成で必要書類をまとめる際の注意点
遺産分割協議書を作成するための必要書類には、これまでご説明してきたもの以外にも用意しなければならないものや、注意しなければならないことがあります。
必要書類をまとめる際に気を付けなければならないポイントについて解説します。
未成年の相続人には特別代理人が必要になることもある
相続人の中に未成年がいる場合、親権者が遺産分割協議に参加しなくてはなりません。
しかし、例えば亡くなった夫の遺産を配偶者と未成年の子で相続するとした場合、母親は子の親権者であると同時に相続人でもあります。したがって母親が子の代理人となってしまうと2人の利益が相反する「利益相反行為(※4)」に相当してしまいます。
利益相反行為は結果ではなく形式的に判断されるものであるため、母親が自分の有利になるように進めるつもりはなくとも、相続人であれば子の代理人になることは認められません。このような場合は、家庭裁判所にて未成年の子の特別代理人を選定してもらわなければならず、怠ると遺産分割協議書の有効性がなくなるため注意しましょう。
(※4)一方にとっては有利、一方にとっては不利になるようにする行為のこと。遺産分割協議の場合、どちらか片方にだけ利益が出るようにはたらきかける行為などを指す。
遺産分割協議書は無効になることがある
遺産分割協議書は、以下のような場合に、無効となることがあります。
・相続が発生する前(被相続人が死亡する前)の日付で作成された
・相続人全員が遺産分割協議に参加していない/全員分の署名や押印がない
・一部の相続人の意思能力が深刻な認知症などにより欠けていた
・特別代理人を選定していなかった
・遺産分割の内容が公序良俗に反していた
協議書が法的に無効となると、相続に関するすべての手続きがその協議書に基づいて行えなくなってしまいます。
相続税申告には口座残高証明書を用意
相続した預貯金の相続税を申告する際には、「既経過利息(きけいかりそく)」が記載された口座残高証明書を用意します。
既経過利息とは、被相相続人の口座を解約した場合に支払われる利息です。
(例)
1.000万円の預貯金を相続し、払い戻しのために被相続人の口座を解約したら
預入日から解約までの金利分である3万円が支払われた
「3万円」が既経過利息
相続税を計算するときには既経過利息分も加算しなくてはならないため、あらかじめ金融機関から既経過利息の記載された口座残高証明書を取り寄せておきましょう。
遺言書は検認の要・不要にも注意
ご紹介したように遺言書は大きく分けて3種類あり、公正証書遺言以外の遺言書は家庭裁判所による検認が必要となります。検認しないまま遺言書を開封した場合は民法により5万円以下の過料が科せられます。また、検認そのものを忘れていると、相続手続きが困難になるため、必ず遺言書の種類と検認の有無を確認しましょう。
9.遺産分割協議書作成のための必要書類は早めの用意を|わからないことは花葬儀へ
大切な人が亡くなってすぐに遺産の話をするのは気が進まない方が多いかもしれませんが、遺言書がない場合の遺産分割協議、ならびに遺産分割協議書の作成には時間を要します。また、不動産や相続税の手続きなどには有効期限があるので、必要書類の取得は早めに取り組むことが求められます。
「何から始めたらよいかわからない」「遺産分割協議書の書き方がわからない」「必要書類の準備まで手がまわらない」などのお悩みは、ぜひ花葬儀にご相談ください。
花葬儀では、相続に関するサポートを提携している専門家とともに行っております。相続以外のご相談、たとえば遺品整理や不動産査定などもまとめておうかがいできますので、ご興味のある方は「リベントファミリー」の詳細ページよりお電話にてお問合せ、または無料の資料請求をご利用ください。