死亡後の名義変更の方法は?不動産・車などの手続きも解説
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- 【 相続の基礎知識 】
「死亡した人が所有していたもの」や「その人の名義で登録されているもの」は、名義変更が必要なケースがあります。名義変更の対象となるものには不動産、自動車、銀行口座などさまざまなものがありますが、その方法はそれぞれ異なり複雑なことが多いものです。
「いつかは起こりうること」とわかっていたとしても、いざその時が来た際に「何を、どのようにすればよい?」と悩むことも多いでしょう。
そこで今回は、死亡した人の遺産を相続する際などの「名義変更の方法」についてご紹介します。名義変更に必要な書類や手順を詳しく解説しますので、ぜひお役立てください。
1.死亡後に名義変更が必要となる遺産や契約は?
死亡後の名義変更は、死亡した人(被相続人)の遺産を相続したり、故人様の名義で登録されている契約などの支払い者を変更したりする場合に必要です。特に、前者の場合には、相続する種類ごとにさまざまな書類を用意し複雑な手続きを行わなければなりません。
そこで、まずは名義変更が必要な主なものをご紹介しましょう。
相続するもの
・銀行口座
・不動産(土地、建物)
・自動車・バイク
・有価証券(株式など)
・損害保険・生命保険
サービスなど契約に該当するもの
・公共料金
・通信サービス
・有料テレビサービス
・クレジットカード
・各種オンラインサービス
・新聞・雑誌などの定期購読
なお、「遺産」には、資産価値がある不動産や銀行口座といった「プラスの財産」と、借金や税金、未払いの公共料金などの「マイナスの財産」があります。相続の話を始める前には、必ず死亡した人のプラスの財産とマイナスの財産を明らかにすることが重要です。
2.死亡後に名義変更は必要?
死亡した人の遺産や契約などの名義変更を行わないと、さまざまな問題が発生する可能性があります。そのため、基本的に名義変更は必要だといえます。
詳細は後述しますが、一番の問題は「相続人同士によるトラブルが発生しやすくなること」です。実際に誰が何の権利を持っているのかが不明確になったり、将来的に財産を分割する際に問題が生じたりする可能性があるため、遺産所有者の死亡後、なるべく早く行ったほうがよいでしょう。
なお、遺産をどのようにするかは、故人様が遺した遺言書もしくは相続の権利を持った相続人全員による「遺産分割協議」、または民法によって定められた相続の割合(法定相続分)にて決定します。
いずれかの方法で決定した相続の内容に基づいて、相続人がそれぞれ名義変更を行うことで相続が完了となり、「誰が何をどのくらい相続したのか」を明確化することができます。各自の権利を確立させることによって、相続人同士によるトラブルなどを未然に防ぐことができるでしょう。
3.死亡後の遺産相続で名義変更を行わないとどうなるの?
死亡後に名義変更を行わない場合、その種類によってはさまざまな支障が生じます。特に遺産相続に関連するものについては問題が大きくなることがあるため、ここでは遺産の名義変更について具体的な事例をご紹介します。
銀行口座の預貯金が凍結される
遺産を相続したまま名義変更を行わずに放置しておくと、遺産の散逸・消失の恐れが発生します。銀行は口座名義人の死亡の連絡を受けると口座を凍結するため、新たな名義人が登録されるまで預貯金の入出金が行えません。入出金のないまま10年経過した口座は休眠口座として、やがて民間公益活動へと活用される可能性があります。
不動産の相続登記を行わないと法律に違反する
これまで、名義変更に関して、法律上の義務はありませんでした。しかし、不動産を相続する場合、法改正により、2024年4月1日から相続登記が義務化されます。
不動産の相続登記(相続人への名義変更)を規定にもとづいて行わなかった場合、法律に違反することになるため注意が必要です。期限は3年以内、罰則として10万円以内の過料となるため、名義変更は早めに済ませておきましょう。
重要な書類が相続人に届かないことがある
たとえば、名義変更をしないままにしている自動車があった場合、毎年支払わなければならない自動車税の納税通知書が相続人に届かず、気づかないうちに納付期限を過ぎ、延滞税を課せられてしまうことがあります。
故人様の財産が勝手に売却される恐れがある
複数の相続人によって共有相続していた部分が勝手に売却されてしまう、というトラブルが発生しやすくなるでしょう。さらに、名義変更をしていないものは所有権が明確でないため、売却、譲渡、破棄などの取引に関連する法的問題やリスクが生じる可能性があります。
相続の内容が複雑化する
相続するはずの人が名義変更を行わないまま死亡すると、次の相続が発生してしまうことがあります。これは「数次相続」と呼ばれますが、この場合、名義変更を最後にしていた人物までさかのぼり、その人物の遺産を相続する権利を持つ人を探し出して遺産分割協議を行わなくてはなりません。
相続人が毎回名義変更を行っていれば単純化できた遺産分割協議が、関係の希薄な親族にまで広がり、難航してしまうことがあるのです。
今回ご紹介したデメリットを回避するためにも、たとえ法律上の義務がない場合でも、遺産の名義人変更を行ったほうがよいでしょう。
4.死亡後の遺産相続で名義変更に必要な書類は?
不動産や自動車などを相続したときは、複数の書類が必要です。ここでは、名義変更に必要となる一般的な書類について分かりやすく解説します。
ただし、相続人の状況、相続する遺産の種類や内容などによって必要書類が異なるため、地域の法律や、銀行・登記所などの規定に従い、必要な書類を準備しましょう。
遺言書
死亡した人が「自身の財産や遺産に関する振り分け方などの意志」を生前に書き記した書面が遺言書です。公正役場で作成した「公正証書遺言」以外の遺言書が法的に認められるものであることを証明するためには、家庭裁判所による「検認調書」または「検認済証明書」が必要となります。
遺言書の詳しい内容や書き方などの詳細は、「遺言書の作成方法~効力、書き方、文例もご紹介します~」の記事を参考になさってください。
遺産分割協議書
遺産分割協議書が必要となる主なケースをご紹介します。
- ・遺言書に記載のない財産が発覚した場合
- ・死亡した人が遺言書を用意しておらず、かつ、法定相続分とは異なる遺産分割を行う場合
遺産分割協議書は、被相続人の遺産を相続する権利をもった人(死亡した人の妻や子ども、両親など)全員で遺産の分配について遺産分割協議を行い、そこで決定した内容をまとめて作成します。
決まった書式はありませんが、遺産分割協議に参加した全員の署名と実印が必要です。
出典 :登記申請手続きのご案内(相続登記①/遺産分割協議編) 法務省民事局 7ページ
URL :https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/content/001388912.pdf
参照元:法務省 不動産を相続した方へ ~相続登記・遺産分割を進めましょう~
登記申請手続のご案内(遺産分割協議編)
URL :https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00435.html(閲覧日2024年2月9日)
被相続人の戸籍謄本及び除籍謄本
相続した遺産の名義変更には、被相続人の戸籍謄本及び除籍謄本が必要です。
ここではこれらの説明、および複数の相続人が存在する場合に簡略化できる方法をご紹介します。
戸籍謄本及び除籍謄本とは?
戸籍謄本とは、親族的な身分関係が記載された公文書です。出生日、婚姻の有無、本籍地など、個人の情報だけではなく、同じ戸籍に入っている全員の身分事項が記載されています。
除籍謄本は、戸籍に記載されている人物が、死亡や結婚、本籍地移動などの理由で「その戸籍からいなくなった」ことを証明する書類です。
相続をするにあたり、被相続人の戸籍謄本と除籍謄本を取得することによって、被相続人の出生から死亡までの履歴が分かり、「被相続人が死亡した事実の証明」「法定相続人の特定」が行えるようになります。
相続人多数の場合は「法定相続情報一覧図」で効率的に!
複数の相続人が名義変更を行う場合、戸籍謄本や住民票の提出機会が多くなります。このような書類取得の負担を減らすために、「法定相続情報一覧図」を作成するという方法があります。
法定相続情報一覧図とは、被相続人と相続関係にある人物を分かりやすく一覧にした家系図のようなもので、法務局に提出すると認証文をつけた写しが交付されます。
法定相続情報一覧図があれば名義変更のたびに戸籍・除籍謄本や住民票を提出する必要がなくなるため、相続人が多く書面の用意が難しいという方にはおすすめです。
被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
被相続人の戸籍謄本には、被相続人の本籍地が記載されていますが、死亡時の住所までを知ることはできません。財産の名義人として登録している人物が、亡くなった被相続人であることを証明するためには、被相続人の住民票の除票、または戸籍の附票(ふひょう)が必要となります。
「住民票の除票」とは、住民登録を解除された内容が記されている書類で、引っ越しによる移転なら引っ越し先の住所と異動年月日が、居住者死亡の場合は死亡日が記載されています。
「戸籍の附票」は戸籍そのものではありませんが、戸籍上の人物の住所履歴などが記されています。
相続人の戸籍謄本または抄本
相続人の戸籍謄本または抄本(しょうほん)は、被相続人との間に相続に値する繋がりを持っているのか、または、遺言書などによって指名された相続人本人であるのかということを証明するために必要です。
なお、戸籍抄本は、同じ戸籍として登録されている人数分の情報が記載されている戸籍謄本とは違い、知りたい人物の戸籍情報のみが記載されています。
ただし、特定の契約や手続きにおいては、住民票や他の身元証明書(健康保険証、パスポート、運転免許証など)が提出される場合、戸籍謄本が必要ないこともあります。
相続人の住民票
名義変更では、一般的に相続人の現住所の記載が求められます。
先にご紹介したように、戸籍謄本には一個人の現住所までは記載されていませんから、名義変更をする際には相続人の現住所が記載された住民票が必要です。
ただし、特定の契約や手続きにおいては、身元証明書が提出されれば、住民票が必要ないこともあります。
印鑑証明書
印鑑証明書とは、実印として登録した印鑑が本物であることを証明するための書類です。印鑑登録が済んでいなければ印鑑証明書は発行できないため、その場合は役所に行って実印を登録しなければなりません。
多くの場合、相続の名義変更による印鑑証明書は「発行から〇日以内」と期限が定められています。最後に取得した時から年月が経っている場合は、新たに用意しましょう。
死亡後の名義変更において一般的に必要となる書類をご紹介しましたが、このあとは、具体的なケースごとに、必要となる詳細をご説明します。
5.【不動産】死亡後の名義変更の方法
前述しましたが、不動産相続による名義変更は、2024年4月1日から義務化されることとなり、違反すると罰則が課せられる可能性があります。名義変更に必要な書類と手続きの流れをご説明しますので、参考になさってください。
不動産の名義変更に必要な書類
不動産の名義変更にあたって、必要となる書類は以下のケースごとに異なります。
遺言書がある場合
遺言書がある場合に必要となる書類は以下のとおりです。
- ・遺言書
- ・固定資産税評価額がわかるもの(固定資産評価証明書など)
- ・被相続人の戸籍謄本と除籍謄本
- ・被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
- ・相続人の戸籍謄本または抄本
- ・相続人の住民票
「固定資産評価証明書」とは、所有している不動産(固定資産)の評価額を証明する書類です。不動産や所有者に関する情報などの他、不動産が資産価値としてどのくらいの金額なのかが明記されています。
また、相続人の実印の押印、印鑑証明書は不要です。
遺産分割協議書がある場合
遺言書がなく、遺産分割協議にて遺産の分割を決めた場合、必要となる書類は以下の通りです。
- ・遺産分割協議書
- ・固定資産税評価額が分かるもの(固定資産評価証明書など)
- ・被相続人の戸籍謄本と除籍謄本
- ・被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
- ・相続人の戸籍謄本または抄本
- ・相続人の住民票
- ・相続人の印鑑証明書
相続人の戸籍謄本、住民票、印鑑証明書は、遺産分割協議書に記されている全員のものが必要となります。
遺言書も遺産分割協議書もない場合
遺言書も遺産分割協議書もなく、法定相続分で遺産を分配する場合は、以下の書類が必要です。
- ・固定資産税評価額が分かるもの(固定資産評価証明書など)
- ・被相続人の戸籍謄本と除籍謄本
- ・被相続人の住民票の除票または戸籍の附票
- ・相続人の戸籍謄本または抄本
- ・相続人の住民票
いずれのケースでも、司法書士などが代理で名義変更の申請を行う場合には、ご紹介した書類とは別に「委任状」が必要です。
名義変更の手続きの流れ
死亡した人から不動産を相続する際の、名義変更の手続きの流れは以下の通りです。
ステップ1.必要書類の取得
先にご紹介した「ケースごとに異なる必要書類」を参考に、故人様の自宅、役所などから書類を取得します。1つの不動産に対し相続人が1人しかいない場合はその人の分のみが、親兄弟などの複数人で共有名義とする場合は全員分の書類が必要です。
戸籍謄本は、その人物の本籍地を管轄する役所での取得となります(郵送でも可)。相続人が多く、それぞれの本籍地が異なる場合は、取得までに時間がかかる点をおさえておきましょう。
ステップ2.登記申請書の作成
不動産の相続における名義変更は、「相続登記」と呼ばれます。法務局ホームページから申請書用紙をダウンロードして、法務局(登記所)に提出する登記申請書を作成します。
作成方法や提出方法については、法務局ホームページを参考になさってください。
ステップ3.登録免許税と必要書類で法務局に申請
ステップ1で揃えた書類とともに登録免許税を用意して、法務局に申請します。
「登録免許税」とは、相続や住宅の購入などで新たに不動産を手に入れる人が、所有権を登記する際に必ず支払う税金のことです。
登録免許税の計算方法は、「【相続登記ガイドブック】相続登記の手続きについて(詳細編)」の3ページを参考になさってください。
※この資料の情報元は東京法務局です。
URL :https://houmukyoku.moj.go.jp/tokyo/page000275.html#section4
参照元:東京法務局 相続登記が義務化されます(令和6年4月1日制度開始)~なくそう 所有者不明土地 !~
(閲覧日2024年2月9日)
ステップ4.名義変更完了
新しい名義人に「登記完了証及び登記識別情報通知書」が交付されると、名義変更は完了です。
6. 【自動車】死亡後の名義変更の方法
相続による自動車の名義変更は、その自動車の車検が切れていないことが前提です。
ここでは、死亡した人から普通自動車を相続した際の、名義変更に必要な書類と手続きの流れをご紹介します。
普通自動車の名義変更に必要な書類
普通自動車の名義変更にあたって必要となる書類を、ケース別にご紹介します。
単独で相続をする場合
1台の普通自動車を、1人の相続人が相続する場合に必要となる書類は以下の通りです。
- ・車検証(自動車検査証)
- ・被相続人の戸籍謄本と除籍謄本
- ・遺言書もしくは遺産分割協議書(必要に応じて)
- ・相続人の実印と印鑑証明書
- ・車庫証明書(被相続人の保管場所と同じである場合は不要)
相続する普通自動車の価値が100万円以下の場合は、遺産分割協議書の代わりに、「遺産分割協議成立申立書(遺産分割協議書を簡略化したもの)」もしくは「普通自動車の価値が100万円以下であることを示す書類(査定書など)」を提出しても差し支えありません。
共有名義で相続する場合
1台の普通自動車を、複数人で相続する際に必要となる書類は、以下の通りです。
- ・車検証(自動車検査証)
- ・被相続人の戸籍謄本と除籍謄本
- ・遺言書もしくは遺産分割協議書(必要に応じて)
- ・相続人全員分の実印と印鑑証明書
- ・車庫証明書(被相続人の保管場所と同じである場合は不要)
普通自動車を相続する際に提出する必要書類のフォーマットや書類の有効期限は、新たな所有者が住んでいる地域を管轄する運輸支局により異なるケースがあります。書類を用意する前に、必ず運輸支局にてご確認ください。
お住まいの地域を管轄する運輸支局は、自動車検査登録総合ポータルサイトから調べることができます。
普通自動車の名義変更の手続きの流れ
相続による普通自動車の名義変更の手続きの流れをご紹介します。
ステップ1.戸籍関係など必要書類の取得
先ほどご紹介した必要書類一式を取得します。相続人が普通自動車を保管する場所を確保していることの証明である「車庫証明書」は、戸籍謄本などと違い、取得まで最大1カ月程度かかることがあります。
相続が決まったらなるべく早く取得に向けて行動しましょう。
ステップ2.運輸支局で書類の記入
普通自動車の名義変更は、「相続人の住所を管轄する運輸支局の窓口」または「自動車検査登録事務所内の自動車税事務所」で行います。窓口で、以下の書類を取得し必要事項を記入しましょう。移転登録申請書は、あらかじめ運輸支局のホームページでダウンロードして作成しておくことも可能です。
【運輸支局で記入する書類】
- ・移転登録申請書
- ・手数料納付書
- ・自動車税申告書
自動車申告書とは、これまで被相続人が支払っていた自動車税の支払先を変更するために記入する書類です。相続する普通自動車の種類(排気量の違い)によっては、相続人に別途「自動車税環境性能割」が発生するため、必要な金額を申告書に記載して、次のステップで税金を納めます。
ステップ3.運輸支局で登録手数料の支払い
登録手数料500円を支払います。支払いの方法は、運輸支局内にある印紙販売窓口で、登録手数料分の印紙を購入し、ステップ2で取得した手数料納付書に貼り付ければ完了です。
その他に、先ほどご紹介した「自動車税環境性能割」がかかる場合はその分の支払いを、相続する自動車のナンバープレートを変更する場合は1,500円程度の手数料を支払います。
ステップ4.車検証の交付で名義変更完了
運輸支局の窓口に書類をすべて提出し、内容に不備が無ければ車検証が交付されます。車検証の交付をもって名義変更は完了です。
7.【銀行口座】死亡後の名義変更の方法
死亡した人が持っている銀行口座を相続するには、「口座の名義を変更して引き継ぐ方法」と「口座を解約して預金の払い戻しを受ける方法」の2種類があります。このコラムでは、前者の方法について、必要な書類と手続きの流れをご紹介します。
銀行口座の名義変更に必要な書類
銀行口座の名義変更にあたって、必要となる書類をケースごとにご紹介します。
単独相続の場合
相続人が単独で故人様の銀行口座を相続する際は、一般的に以下の書類が必要です。
- ・相続届
- ・被相続人の戸籍謄本と除籍謄本
- ・相続人の戸籍謄本
- ・相続人の実印と印鑑証明書
- ・被相続人の通帳、キャッシュカード
「相続届」は、相続する口座のある銀行ごとに書式が異なります。窓口から直接もらうか、郵送で受け取ることができます。また、相続人が一人の場合、通常は遺言書や遺産分割協議書は必要ありません。
印鑑証明書の有効期限は銀行ごとに設定が異なるため、調べた上で用意しましょう。
複数相続で遺言書がない場合
複数の相続人が故人様の口座を相続する場合は、主に以下の書類が必要です。
- ・相続届
- ・遺産分割協議書(法定相続分による相続の場合は不要)
- ・被相続人の戸籍謄本と除籍謄本
- ・相続人全員分の戸籍謄本
- ・相続人全員分の実印と印鑑証明書
- ・被相続人の通帳、キャッシュカード
複数相続で遺言書がある場合
遺言書がある場合は、主に以下の書類が必要となります。
- ・遺言書
- ・検認済証明書(遺言書が公正証書遺言以外の場合)
- ・相続届
- ・被相続人の戸籍謄本と除籍謄本
- ・相続人全員分の戸籍謄本
- ・相続人の全員分の実印と印鑑証明書
- ・被相続人の通帳、キャッシュカード
遺言書がある場合は、相続届に「遺言執行者」と「受遺者」の署名、実印による捺印が必要となる場合があります。遺言実行者とは、遺言書に書かれている内容を実現するために手続きを行う責任者で、受遺者は遺言書の内容通りに遺産を相続する人のことです。
銀行口座の名義変更の手続きの流れ
死亡した人から銀行口座を相続する際の、名義変更の手続きの流れは以下の通りです。
ステップ1.銀行に連絡をする
口座の名義変更を行うには、口座の所有者である人物が死亡したことを、銀行に伝えることから始まります。
金融機関は、口座の所有者が死亡した連絡を受けると、口座を凍結して一切の入出金が行えないようにします。これは、不正な引出しや犯罪に利用されることを防ぐための措置です。
所定の手続きに従えば、「遺産分割前の相続預金の払い戻し制度」によって被相続人の口座から現金を引き出すことは可能ですが、用途によっては遺産分割協議の際に相続人同士のトラブルに発展する恐れもあります。相続の内容が確定するまでは、被相続人の口座からできるだけ現金を引き出さない方が賢明でしょう。
ステップ2.必要書類の取得
ご紹介した「銀行口座の名義変更に必要な書類」の内容に沿って、必要書類を用意します。
書類はあくまでも一般的なものであり、実際は金融機関ごとに詳細が異なることもあります。書類を用意する際は、必ず金融機関に確認をするようにしましょう。
ステップ3.申込書を作成する
相続届に必要事項を記入し、相続人全員分の署名と実印を押します。書き損じは、相続人全員の実印で訂正をしなければならないため、不安な場合は専門の行政書士に代行を依頼するとよいでしょう。
なお、花葬儀では、葬儀後の遺産相続各種お手続きについてもお手伝いしております。相続問題で多数の実績を持つ門脇紀彦司法書士をご紹介しておりますので、ご安心ください。
門脇司法書士については、「成年後見人制度とは?手続きや費用、制度を利用する際のポイント」の記事でご紹介しております。
ステップ4.金融機関に名義変更手続きに行く
金融機関に必要書類を提出し、名義変更手続きを完了させると、およそ2週間~1ヶ月ほどで相続した口座の名義が変更され、新しい通帳を受け取ることが可能です。
死亡した人の口座を解約し、預金の払い戻しを受ける方法については、「死亡した人の銀行口座を解約手続きする方法とは?」の記事を参考になさってください。
8.【株式】死亡後の名義変更の方法
株式、債券、手形、小切手などをまとめて「有価証券」といいます。中でも株式、とりわけ上場した企業が発行する「上場株式」は一般の人でも売買できるため、相続の対象となるケースが多いでしょう。
そこでこちらでは、死亡した人から株式を相続した際の、名義変更に必要な書類と手続きの流れについてご紹介します。
株式の名義変更に必要な書類
株式の名義変更にあたって、必要となる書類は一般的に以下の通りです。
- ・相続手続き依頼書(兼同意書)
- ・口座振替申請書または特別口座開設請求書ほか
- ・遺言書もしくは遺産分割協議書(必要に応じて)
- ・被相続人の戸籍謄本と除籍謄本
- ・相続人の戸籍謄本
- ・相続人の実印と印鑑証明書
相続手続き依頼書(兼同意書)と口座振替申請書または特別口座開設請求書は、被相続人が保有する株式を管理している証券会社から郵送されます。
上記に挙げた書類は一例です。実際は証券会社によって必要となる書類が異なるため、必ず問い合わせの上準備するようにしましょう。
株式の名義変更の手続きの流れ
死亡した人から株式を相続する際の、名義変更の手続きの流れは以下の通りです。
ステップ1.証券会社へ連絡する
まずは、証券会社に株式を保有していた人物が死亡したことを連絡します。被相続人がどのような株をどのくらい保有していたか不明な場合は問い合わせをすることも可能です。
連絡の際には、名義変更までに必要な書類や手続き完了までのスケジュールも併せて確認しておくと、そのあとの流れがスムーズとなるでしょう。
ステップ2.相続人名義の証券口座の準備・開設
株式を相続するためには、相続人となる人物の証券口座(どこの紹介会社の口座でも可)が必要です。証券口座を持っていない場合は、名義変更の手続きを行う前に、相続人名義の証券口座を準備・開設します。
証券口座は、ネットで申し込んだ場合、即日で開設できるところもあります。詳しくは、各証券会社にご確認ください。
ステップ3.必要書類の取得
「株式の名義変更に必要な書類」でご紹介した書類を取得します。
ステップ4.証券会社へ書類を提出
開設した相続人の証券口座の情報と必要書類を、証券会社へ提出します。提出した書類に不備がなければ、およそ2週間~1ヶ月ほどで手続きが完了するでしょう。
ステップ5.名義変更完了
証券会社から名義変更の完了の連絡が来たら、開設した証券口座に相続した株式が移動します。
9.【公共料金】死亡後の名義変更の方法
ご家族の死亡後に名義変更手続きが必要となるものには、遺産相続のほかに「サービスなどの契約に該当するもの」があります。特に「公共料金」には注意しましょう。
なぜなら、公共料金の引き落とし口座名義が同居している故人様のものだった場合、口座は凍結されているため支払いができなくなってしまうからです。
公共料金の支払いが滞るとライフラインが使えなくなり、生活に直結する問題となるため、忘れずに名義変更を行わなければなりません。
電気の名義変更
契約している電力会社に連絡をし、契約者の名義と引き落とし口座の変更を行います。
口座の変更までには最大1ヶ月程度かかることもありますので、すでに故人様の口座が凍結されている場合は、電力会社の指示に従って振込用紙で支払うなどの対応をとります。
ガスの名義変更
ガスの名義変更も、契約しているガス会社に連絡をし、契約者の名義と引き落とし口座の変更を行います。
ガスに関しては、料金の締め日を過ぎてしまうと、基本料金が発生する点に注意が必要です。ガス会社に連絡する際は、ガス料金の締め日と基本料金がいくらかを確認しておくとよいでしょう。
水道の名義変更
水道の名義変更をするためには、お住まいの自治体を管轄している水道局に連絡をします。連絡先が不明な場合は、2ヶ月に1度送られてくる水道料金の領収済み通知書で確認することができます。
電気、ガス、水道会社は名義変更を電話やインターネット、郵送などの方法で受け付けています。どの申請方法にするかは、それぞれの会社ホームページからご確認ください。
なお、ご紹介した公共料金以外にも、「固定電話」「携帯電話」「インターネット」の契約者の名義変更も忘れないようご注意ください。
10.相続の名義変更は迅速に!
大切な方が亡くなった直後は、葬儀の準備や進行で慌ただしく、他のことに時間を割く余裕はなかなかありません。葬儀が終わっても心身ともに疲れている中で行動を起こすのは容易ではないでしょう。
しかし、相続に関する名義変更を迅速に行わなかった場合、のちに大きなトラブルに発展する可能性が高まります。
前述したように、名義変更を行わないままでいると相続した遺産の所有権を明確にすることができず、売却や廃棄が行えない他、資産そのものが消失することもあります。また、数次相続が発生し、遺産の分割がより複雑化する可能性もあるでしょう。
不動産、自動車、銀行口座、株式のいずれの名義変更も、必要書類の取得から名義変更完了までに平均して1ヶ月ほどを要します。遺言書がなく、遺産分割協議が必要となれば、話し合いの進捗度合によってはさらに伸びてしまいます。
仮に、「故人様が所有している不動産を担保にしてすぐにお金を借りなければならない」「新車を買ってしまったので、相続する自動車をなるべく早く売却したい」といった状態になっていたとしても、名義変更が完了していなければ行えません。
名義変更が遅れるほど、ご自身に降りかかるリスクが増えると捉え、相続があった際はなるべく速やかに名義変更を行いましょう。
花葬儀ではアフターサポートが受けられる会員サービス「リベントファミリー」をご用意しております。花葬儀顧問/門脇紀彦司法書士をご紹介し、各種名義変更、不動産の売買や相続にまつわるお悩みなど、葬儀後のお困りごとについても対応させていただきます。
どうぞお気軽にお問い合わせください。