通夜での受付係の挨拶は?役割、マナー、注意点や参列者の挨拶も解説

通夜での受付係の挨拶は?役割、マナー、注意点や参列者の挨拶も解説

通夜を訪れた参列者が、まず、顔をあわせるのが受付係です。受付係は、ご遺族の代表として重大な役割を担うといってよいでしょう。

そこで今回は、通夜の受付係が参列者に対してどのように挨拶をすればよいのかを説明するほか、受付係の具体的な役割、受付係が知っておくべきマナーや注意点も解説します。

また、参列者が受付で、どのような挨拶をすべきかについても例文を挙げてご紹介します。

1.通夜での受付係の役割は?

通夜において、受付係が担う役割、およびあらかじめ準備しておくべきものについてもご紹介します。

事前準備

通夜の受付係は、遅くとも通夜開始の1時間前には会場に到着し事前準備を始め、30分前には終了しているようにしましょう。事前準備には下記の3つがあります。

会場全体とスケジュールの把握

受付係は参列者からさまざまな質問を受ける機会があります。お焼香の場所やトイレの場所など会場に関すること、式の時間などスケジュールに関することは最低限答えられるようにしておきましょう。

事前に会場全体を見回りして、どこに何があるのかを確認します。また、式の流れやタイムスケジュールについても、葬儀社のスタッフから事前に説明を受け、把握しておきましょう。

筆記用具や必要な道具の確認

記帳用のペンやボールペンなどが十分揃っているか、また、それらがきちんと書ける状態にあるのかも確認します。同時に、芳名帳、香典受け、名刺受けなど必要な備品や、会葬御礼(返礼品)・香典返し(即返しの場合)の有無も確認します。

なお、これらの準備は、葬儀社が行います。使い方などがわからない場合は、葬儀社のスタッフに事前に確認することが大切です。また、自分用のメモを用意することも忘れないようにしましょう。

役割分担を決める

葬儀の規模にもよりますが、受付係は2名~5名程度で行います。受付をスムーズに進行できるよう、記名係、会計係、会葬御礼(返礼品)や香典返しを参列者に渡す係などの役割を、事前に分担しておきましょう。

参列者への対応

参列者が来たら、受付係はまず挨拶をし、次に芳名帳への記名をお願いします。そして、香典を受け取りますが、会葬御礼(返礼品)や香典返しが用意されている場合には、それを参列者に渡します。

受付係の参列者への対応については、次の項「通夜の受付係の仕事の流れは?」で詳しく説明します。

会計

会計の仕事は、受付係が依頼される場合もあれば、別に会計係を立てる場合もあります。受付係が会計を担当する場合は、香典を受け取るだけではなく、その管理やお金の集計も行う必要があります。

また、金額の確認などを行うタイミングは、地域の慣習や葬儀形式によっても異なります。受付の対応中に参列者から見えないところで行うケースや葬儀後に行うケースがあるため、事前に葬儀社のスタッフやご遺族に確認しておきましょう。

具体的な作業方法は、香典袋や中袋に書かれた金額と実際に入っている金額が合っているかどうかを確認しながら、誰がいくら香典をくださったのかを記録します。

なお、地域によっては香典を受け取るときに金額を確認するケースもありますが、基本的には、参列者がいる前では、決して香典袋を開けないようにします。

2.通夜の受付係の仕事の流れは?

通夜の受付係の仕事の流れは?

参列者を迎えてから会場を案内するまでの「通夜の受付係の仕事の流れ」を時系列でご紹介します。

弔問に対するお礼の挨拶

受付係は、参列者のお悔やみの挨拶に対して、お礼の挨拶をします。挨拶を交わす際は、大きな声は禁物です。参列者と受付係の双方だけが聞こえる程度の控え目なトーンを心がけましょう。

具体的な挨拶の言葉と注意点については、後述する「通夜の受付係の挨拶をシーン別に解説」の箇所で説明します。

芳名帳への記帳のお願い

受付係は、参列者に芳名帳への記帳をお願いします。

通夜に初めて参列した方が、芳名帳への記帳の仕方がわからず困っている場合にサポートするのも受付係の仕事です。

また、ご高齢者や外国の方に代筆を頼まれたら、お名前をお聞きして代わりに記帳します。

香典の受け付け

受付係は、参列者から香典袋を受け取り、芳名帳に記帳していただいた名前と香典袋に書かれた名前が同じであるかどうかを確認してから香典受けに入れ、しっかりと管理します。

参列者が受付に来られたときのタイミングによっては、芳名帳への記帳のお願いと香典の受け付けが逆になる場合もあります。

会葬御礼(返礼品)や香典返し、会葬礼状を参列者に渡す

参列者に香典をいただいたら、受付係は用意してある返礼品や香典返し、会葬礼状などを手渡します。

受付で返礼品や香典返しを渡さない場合もあるので(帰りに渡すケース、香典返しの場合は後日郵送するケースもあり)、担当の葬儀会社やご遺族に事前に確認しておきます。

3.通夜の受付係の挨拶をシーン別に解説

通夜の受付係の参列者に対する挨拶と注意点を、シーン別に解説します。

参列者が受付に来たとき

受付で参列者から「お悔やみ申し上げます」と挨拶された際は、受付係も参列者に対し挨拶をします。ここでは3つのパターンをご紹介しましょう。

【一般的な場合】
■「お忙しい中、ご参列くださりありがとうございます」
■「お忙しい中お越しいただき、ありがとうございます」

【雨や雪など天気が悪かった場合】
■「お足元の悪い中お越しくださり、ありがとうございます」
■「お足元が悪い中ご足労いただき、ありがとうございます」

【遠方からの参列者の場合】
■「わざわざ遠方よりお越しいただきまして、ありがとうございます」
■「遠方よりお越しいただきまして、誠にありがとうございます」

参列者が、受付で何を言ったらよいのか躊躇(ちゅうちょ)している様子がうかがえた場合は、受付係がその場の雰囲気を察し、機転を利かせて、上記の挨拶の言葉を先に言う場合もあります。

芳名帳への記帳をお願いするとき

受付係が芳名帳への記帳をお願いするときにかける言葉は、ノートタイプの芳名帳とカードタイプの場合とでは異なります。

【芳名帳】
芳名帳は、受付の前に広げられた状態で記帳してもらうケースが多く、以下のように対応します。

■「こちらに、ご記帳をお願いいたします」
■「こちらに、お名前とご住所をご記入くださいませ」

【芳名カード】
方名カードは、受付ではなく別のところで記載してもらうケースが多く、受付では以下のように対応します。

■「恐れ入りますが、あちらで芳名カードにお名前とご住所のご記入をお願いいたします」

香典を受け取るとき

■「お預かりいたします」

受付係は喪主様に代わって香典を受け取る立場にあるため、「お預かりいたします」と伝えるのが適切な対応です。

受付係はあくまで喪主様の代わりですから「頂戴いたします」「ありがとうございます」は、使用しないようにしましょう。

香典を差し出されたときには、受付係は必ず両手で受け取ります。

会葬御礼(返礼品)や香典返しを渡すとき

会葬御礼(返礼品)や香典返しを渡すときは、香典を受け取ってからすぐに渡すため、特に言葉はかけなくてもかまいません。言葉をかける場合は、「こちら、香典返しです」程度でよいでしょう。

香典を辞退するとき

■「申し訳ございません、故人の遺志により、ご香典は辞退しております」
■「誠に勝手ながら故人の遺志でご香典は辞退しております。お気持ちだけありがたく頂戴いたします」

ご遺族が「香典辞退」の意向を示しているケースにおいては、事前にご遺族と打ち合せをしておきましょう。「いずれの場合においても香典は受け取らない」という場合は、受付係は香典を受け取ってはいけません。

あらかじめ訃報の連絡や葬儀の案内状で香典辞退を伝えていても、参列者の中には、香典を持参する人もいます。その場合には、丁寧に辞退の旨を理由とともに告げ、深くお辞儀をします。

ご親族が受付に来たとき

■「この度はお悔やみ申し上げます」

受付係は、ご遺族・ご親族側の代理を務めますが、ご遺族・ご親族に対してはお悔やみを述べる立場にあります。そのため、ご親族が受付に来たときには、お悔やみの言葉を述べましょう。

4.通夜の受付係のマナーは?

通夜の受付係のマナーは?

受付係は、ご遺族の代わりに参列者をお迎えする立場にあるため、マナーにも十分に気をつけなければなりません。

服装のマナー

受付係も基本的には、参列者と同じように喪服を着用していれば問題ありません。ただし、喪主様やご遺族よりも控え目にすることが原則です。

ここでは、服装のマナーを男性と女性に分けて確認していきます。

男性の服装

・ブラックスーツ
・白のワイシャツ
・黒のネクタイ
・黒の靴下
・黒の靴

女性の服装

・黒のスーツ、スリーピース、ワンピース
・黒のストッキング

胸元があいたものはNGです。また、夏であってもノースリーブなど肌の露出度が高い服装は避けます。

※通夜の受付のメイクに悩んでいる方は、ぜひ、次の記事を参考になさってください。

※葬儀にふさわしい服装や髪形、靴、身だしなみについて詳しく知りたい方は、次の記事が参考になります。

言葉遣いのマナー

受付係の言葉遣いのマナーにおける、主なものをご紹介します。

忌み言葉は使わない・宗旨宗派に気をつける

不幸が繰り返すことを連想させる「しばしば」「またまた」などの「重ね言葉」や、直接的に死を連想させる「死亡」「急死」などの言葉は使ってはいけません。

また、宗旨宗派によっては、使ってはならない言葉があるので、事前に宗旨宗派を確認しましょう。

※忌み言葉や宗旨宗派によって使ってはならない言葉について詳しく知りたい方は、次の記事が参考になります。

最上級の丁寧語と謙譲語を使う

言葉遣いは、最上級の謙譲語と丁寧語を用います。

たとえば、芳名帳に記帳いただくときの言葉遣いは、「名前」ではなく「お名前」、「お書きください」ではなく「ご記帳ください(ませ)」、「お手数ですが」ではなく「恐れ入りますが」などが適切です。

地域によって異なるマナーに注意

地域により、通夜の受付係の仕事が異なる場合があります。たとえば、北海道では、通夜の受付係は香典を受け取るとその場で開封し、金額を確認後、領収書を発行します。香典袋を開いて、中の金額を確認する地域は他にもあります。

このように、地域によっては、通夜の受付係の役割に独特の慣習がある場合もあるため、通夜の受付係を引き受けた際は、葬儀会社かご遺族に事前に確認するようにしましょう。

5.通夜に参列する際の受付での挨拶とマナーは?

通夜に参列する際の受付での挨拶とマナーは?

これまでは、受付係の立場での挨拶とマナーについてご紹介しましたが、ここからは参列者の方が気をつけるべき「通夜の受付での挨拶やマナー」について解説します。

受付を訪れたときの挨拶とマナー

通夜の受付を訪れたときには一般的に下記のような挨拶の言葉を述べます。

■「お悔やみ申し上げます」
■「この度はご愁傷様でした」
■「心から哀悼の意を表します」

「お悔やみ申し上げます」は、目上にも目下にも使用できる挨拶の言葉ですから、迷ったら「お悔やみ申し上げます」と挨拶することをおすすめします。

受付の後ろで待つ方に配慮し、通夜の受付で交わす言葉は最小限にとどめるのがマナーです。

香典を渡すときの挨拶とマナー

香典を渡すときには、一般的に下記のような言葉を述べます。
■「お納めください」
■「お供えください」

香典は、表書きを受付係が読めるように向きを変え、両手で持って差し出すのがマナーです。表書きを自分の方に向けたり、片手で差し出したりしないように注意しましょう。

6.通夜の受付は責任重大~挨拶やマナーを理解することが大事~

冒頭でも触れたように、通夜の受付係は、参列者を最初にお迎えする立場です。

したがって、受付係の対応に失礼があると、ご遺族の印象まで悪くなる可能性があります。

また、受付での対応だけでなく、香典のお金を管理することも通夜の受付係の仕事です。責任重大な役割を担うため、通夜の受付係を頼まれたら、事前に役割や挨拶、マナーを知って臨むようにしましょう。

※家族葬の受付について詳しく知りたい方は、下記の記事が参考になります。

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