花葬儀を選んだ理由
父が晩年を楽しく過ごしたホームで葬儀ができることが一番の決め手でした。
ホームに入居して3年。父の容態が悪くなってきたころ、ホームの方から過去に施設内の居室で葬儀をおこなったことがあると伺いました。
その時は花に囲まれたとても素敵なご葬儀だったことを聞き、晩年とても楽しく過ごしていたホームから送ることができるなら、父も一番嬉しいのではないかと考えました。
葬儀社のお名前を尋ねると、そのとき教えてもらった名前が「花葬儀」。
問い合わせをして送られてきたパンフレットには、溢れるほどの花に囲まれた綺麗な祭壇の写真がたくさん掲載されていました。
その中には施設内でおこなわれた葬儀の実例も載っていて、ホームでの葬儀がイメージしやすかったです。
今のホームでの葬儀実績もあり“花”と名前が付く花葬儀さんなら、父が大好きだった花をメインにした素敵なご葬儀がおこなえるのではないかと、お願いするにあたっての信頼感もありました。
父の容態が急変し、ホーム長からプランナーの鳥畑さんをご紹介され連絡をすると、「夜中でも構わないので何かあったらご連絡ください」と言っていただき、とても心強かったです。
花葬儀を体験して良かったこと
過去に経験した葬儀にはない、充実感を得ることができました。
ホームの方から花葬儀のお話を聞き、最初に電話でコンタクトを取ったときから、丁寧で私たち家族に寄り添って言葉をかけてくれることにとても安心感がありました。
なにより一番驚いたのが、過去に経験した身内の葬儀との違いです。
他の葬儀社では葬儀の内容もいくつかのプランから選ぶだけで、通り一遍の淡々とした味気ないものでした。
それが花葬儀さんでは、こちらが1つ要望を出すと、それを汲み取った5つ以上の選択肢を提案してくれて、さらに返答に応じて「こんなこともできますよ」とアイディアを出してくれます。
1つの思いが形になってどんどん膨らんでいくので、プランナーの鳥畑さんと一緒に作り上げていく充実感がありました。
父が亡くなってから火葬するまで数日安置してもらっている間も、ドライアイスをこまめに代えていただき、とても綺麗な状態の父と当日を迎えることができました。
おかげで葬儀も父の人柄を表したような明るくてとても温かいものとなり、最高の形で送り出すことができたと思います。
-お父様はどんな方でしたか?
プロ顔負けのカメラの腕で、四季の美しさを残してくれました。
父はカメラがとにかく好きでした。
家には十何台もカメラを所有していて、レンズに至っては100以上。
とくに季節の花の写真を撮ることが好きで、ダリアやバラの花を撮影しに馬事公苑や神代植物公園に頻繁に通っていました。
家族とも植物公園に何度も遊びに行きましたが、父だけ決まって別行動。
待ち合わせの時間になっても戻って来ないのは日常茶飯事でした。
家には暗室を作り、どこかで写真を撮ってきては暗室にこもって出てこないこともしばしば。
それほど写真を撮ることに夢中だったので、腕前もかなりのもの。コンテストでの入賞歴もあり、企業から個展や展示の依頼をされることも度々ありました。
ホームでの3年間は父にとって幸福な人生の締めくくりとなりました。
95歳でホームに入居した父は、視力も下がり入居したころにはカメラも止めると言って写真からも遠ざかっていました。
ところがホームの方と植物公園に遊びに行くことがあり、それだったら写真を撮ろうと、再びカメラを手にしました。釣り大会や誕生日会などホームで開催されるイベントの際は、父がカメラマンになってみんなの写真を撮ってあげるほど回復したのです。
また、折り紙を習っているスタッフの方の影響で折り紙を始めました。元々手先が器用だったこともあり、みるみるうちに上達して腕前はプロ級。施設の至る所に四季折々の折り紙を飾ってもらい個展まで開くほどになりました。
それほどホームの皆さんから父は元気をもらい家族としては感謝の気持ちでいっぱいなのですが、ホームの方からは「元気をもらっているのは私たちの方です」と言葉をいただき嬉しい限りです。
普段は寡黙でもとても優しい父。
公務員だった父はとても几帳面な性格でマメにメモを取る人でした。
口数は少ないけれど人を笑わすのが好きで、ダジャレをよく言う明るい一面もありました。
私は子供のころ身体が弱く、遠足に行けないことがありました。そのときの遠足では写生大会があり、行けなかったことを不憫に思った父は、後日私を同じ場所に連れていき写生を体験させてくれました。
学生時代は留学中の私に「帰りを一日千秋の思いで待っている」と手紙をくれました。
普段は寡黙で子供を溺愛するタイプではありませんでしたが、いつも温かく見守ってくれる優しい父でした。
こんなご葬儀でした
お式への要望
明るくて四季を大切にしていた父。季節の花いっぱいで送りたい。
〇 仏花ではなく、明るい色の季節の花をたくさん取り入れてほしい。
〇 お父様が好きだったダリアとひまわりは入れてほしい。
〇 匂いのキツイ花は避けてほしい。
〇 お焼香はせず献花にしたい。
〇 ホームのスタッフの方の仕事に支障が出ない時間帯をメインにしたい。
実際のご葬儀
〇 ホームの居室スペースの家具を移動させ広いスペースを確保しました。
〇 メモリアルコーナーはお父様が愛用していたカメラや撮影した写真、折り紙など思い出の品でいっぱいに飾りました。
〇 お父様が好きだった深紅のバラを棺上花としてご用意し飾らせていただきました。
〇 お別れの最期に、全て花びらにし棺の中に散らしていただきました。
-葬儀を終えての感想はいかがですか?
ホームでこんな素敵な葬儀ができて最高の親孝行になったと思います。
コロナ禍だったこともあり、当初はホームでのご葬儀は難しいと思っていました。
しかし、ホームの皆様のご理解とご協力があり、父が大好きだったホームから送ることができて、父もとても喜んでいると思います。
ホームの方からも、「もし多数の人が出入りする一般斎場でおこなわれていたら参列することができなかった」とおっしゃっていただきました。このような状況だったからこそ、父が人生の最後の3年間を楽しく過ごした場所から、親しくして頂いた方々とたくさんの花に囲まれて、自由度の高い温かい葬儀ができたことを家族としても嬉しく思います。
ただ、ホームの方が自由に出入りできるように2日間に渡りおこないましたが、2日目は出棺の前の最期のお別れができる1時間程で良かったと思います。
家族は兄の家族と私の家族が参列したのですが、お線香の香りが苦手な兄は「お線香がない葬儀っていいね」と喜んでいました。
墓石は作らず樹木葬を希望すると、鳥畑さんがパンフレットを取り寄せてくれて見学にまで付き添ってくれました。
葬儀が終わったから終了ではなく、その後も気にかけて寄り添ってくれる対応に感謝の気持ちでいっぱいです。
エピソードとお写真、映像は、ご家族様のご許可をいただいて掲載しております。