花葬儀を選んだ理由
大好きなお花いっぱいの葬儀は、
亡き母のリクエストでした。
母は生前から、自分の葬儀に2つのリクエストを出していました。
ひとつは、亡き父や祖母を見送った近隣の築地本願寺和田堀廟所でやること。そしてもうひとつは、白木の棺に菊などを飾ったいわゆる伝統的な葬儀ではなく、艶やかな花をいっぱい飾った華やかな葬儀にしてほしいということでした。
母が亡くなる半年くらい前に同年代の親戚が亡くなったとき、お花でいっぱいの葬儀風景に感心し、「私のときもこういう葬儀にしてほしい」と頼まれていたのです。
本願寺の葬儀案内を調べていたときに、「花葬儀」さんのサイトのリンクを見つけ、妹そして妻とサイトにのせられた会場写真などを確認。「ここなら母の希望通りの葬儀をしてくれるに違いない」と思い、問い合わせをしました。プランナーの水野さんが大変的確に対応してくださったことに好印象を抱いたのと、見積もり金額をこちらの都合や希望に合わせて何パターンか用意して提示してくださることにすごく安心感を覚えました。
さらに、打ち合わせの際に、フラワーデザイナーの片山さんが目の前で会場装花のイメージをその場でスケッチ画で描きみせていただいたことに、プロの手際のよさを感じて、ぜひここにお願いしようと決めました。
花葬儀を体験して良かったこと
母のイメージ通りの華やかな祭壇で、
お見送りができました。
欧風刺繍の先生をしていた母。モチーフとしても、自分が身につける柄としても花が大好きで、こだわりがあったので、そこを大事にしてくださる花葬儀さんにお願いできたのは本当によかったと思います。
真冬の、しかも年末といういちばんお花の価格が高い時期だったので、考えていた以上に価格が上がってしまったところはありました。しかし、棺の中まであふれるほどの花でいっぱいにしていただき、母が思い描き希望していた通りのお見送りを実現してもらいました。
花の色も白や黄色といったいわゆる一般のお葬式で飾られるような色ではなく、母が好きだったピンクや赤など暖色系で華やかにまとめていただき、明るい祭壇に仕上がりました。そこには、妹と妻の希望を大いにとり入れていただきました。
会場装飾も母が見たらきっと満足したに違いない、という華やかさ。母が刺繍したテーブルクロスやカバーなども会場装飾に上手に取り入れていただき、さらにプロミナントな空間を演出していただきました。
母は晩年、難病を患い老人ホームに入所していましたが、ローストビーフが好みで、定期的に施設に差し入れに行っていました。その話をプランナーさんにしたところ、「ローストビーフも棺に入れましょう」と提案していただき、棺のなかに納めさせていただきました。
お母様はどんな方でしたか？
多いときはお弟子さんが60人以上！生徒に慕われた刺繍の先生でした。
自宅で刺繍の先生をしていた母。まず、保守的で控えめなデザインの「スウエーデン刺繍」を習い、そのあとより大胆なデザインをする「フランス刺繍」の先生に師事。ふたつのデザインを統合して自分流のデザイン、大げさに言えば作風を生み出していました。
多いときには、60人以上のお弟子さんが曜日や時間ごとに来ていたようですが、厳格に指導するというよりも、ワイワイおしゃべりしながらやるスタイルで、それが母も楽しかったのではないかと思います。お弟子さんと一緒に旅行に行ったりするなど、お弟子さんとのお付き合いも多かったようです。明るくておしゃれで、みんなから慕われる人だったのでしょう。
年を重ねてもオシャレ心を忘れない素敵な女性でした。
暗い色より明るい色、小花柄より大輪の花柄のほうが似合う人でした。ジョージ・ジェンセンというアンティーク調のアクセサリーが大好きで、宝物として大切にしていました。
87歳のときに老人ホームに入居したのですが、施設の浴室で用意されているシャンプーとトリートメントが自分の好みではないからと、お気に入りのマイシャンプー＆トリートメントを使うなど、何歳になってもオシャレ心を失わない人でした。
自分の着る服にも刺繍を施すなど、自分流のオシャレをアレンジしていました。
ローストビーフが好物！食することを大いに好む元気な人でした。
母が94歳で亡くなる少し前まで、体は少し不自由でしたが、元気に過ごせていたのは、食事をしっかりととる生活をしていたからかもしれません。
戦争前後の食糧事情が不十分な時代に生まれ育った母は、食に対しても強いこだわりがありました。母が好んだ料理は「東京會舘のローストビーフ」。その料理には、何か特別の思い入れがあったようです。
老人ホームに入居した後も、「施設では食事はボリュームが少ない。たまにはローストビーフが食べたい」という母のリクエストに応えて、妻がよくローストビーフを届けに行っていたので、ホームでは「ローストビーフの人」とちょっとした有名人でした。
こんなご葬儀でした
お式への要望
とびっきり華やかな祭壇でお見送りがしたい。
〇小花ではなくできるだけ大きくて艶やかな花で飾りたい。
〇母が好きだったピンクを入れたコーディネートにしてほしい。
〇母の刺繍作品も一緒に飾ってほしい。
〇母のお気に入りの服で送ってあげたい。
〇大好きなローストビーフを食べさせてあげたい。
実際のご葬儀
〇大輪の花を飾り、ゴージャスで上品な祭壇をつくりました。
〇お母様の刺繍作品を会場装飾に活用しました。
〇棺の上にお母様が刺繍したお気に入りのブラウスを載せました。
〇棺のなかに大好きなローストビーフをお入れしました。
葬儀を終えての感想はいかがですか？
花葬儀さんのおかげで、母への最後の親孝行ができました。ありがとうございました。
社交的で華やかな母のイメージが反映されて、とても艶やかで素敵な花祭壇に仕上げていただきました。母が「お花がいっぱいあふれているようなイメージにしたい」と思い描いていた以上に、華やかで素敵な葬儀にしていただけたと思います。
刺繍教室のお弟子さんをはじめ、参列者の方からも「千鶴子さんらしい素敵なお葬式」「これなら千鶴子さんも喜んでいるわね」と、ほめていただきました。
晩年は手が思うように動かなくなり、大好きだった刺繍もできなくなりましたが、久しぶりにたくさんの母の作品にも囲まれて、みんなで母を想い出せる特別な一日となりました。
悲しみの中にもあたたかく素敵な時間を過ごせたことがとてもありがたく、妻も「いつか私も旅立つ日が来たら、こんなふうに見送ってもらえたらいいな」と話しています。
母の願いを叶えつつ、幸せな気持ちでお見送りができたのは、花葬儀さんのおかげです。きっと母も天国「ありがとう」と言っていることでしょう。
エピソードとお写真、映像は、ご家族様のご許可をいただいて掲載しております。
